日本ガラスびん協会、パレット回収コストの集計開始
日本ガラスびん協会(石塚久継会長)の物流委員会(森島清健委員長・日本耐酸壜工業営業本部営業管理課課長)は、ガラスびん製品などの輸送に使用するパレット回収費用の算出を開始した。各会員会社が昨年10月分より試算に取り掛かり、今年9月に年間の回収費用が集計される予定。ガラスびん業界ではパレット回収率の向上と回収業務の効率化が課題となっており、業界が連携して対策を講じていく中で、回収費用を定量的な指標として各種施策の効果を判断する材料にしたい考えだ。
物流委員会では、今回集計されるパレット回収費用をもとに、その削減に向けた取り組みを進めていく。具体的な施策は、来年2月に開かれる「物流担当者研修会」などで協議。同研修会ではレンタルパレット会社の担当者による講演なども行う予定で、こうした情報をヒントにしながら検討していく。例えば、レンタルパレットの活用や業界としての共同管理なども、費用対効果を見ながら採用を視野に入れる。吉永茂樹専務理事は「数年がかりの中長期的な取り組みになると思われるが、具体的な取り組みに入る前に、まずは回収費用の可視化が必要と判断した」と説明する。
ガラスびん業界ではこれまでもパレットの回収に関して、メーカー間で連携した取り組みを進めてきた。納品先でのパレットの遺失削減に向けて、自社の納品車両の帰り便に他社のパレットも積み合わせて回収する「共同回収」にも取り組み、共同回収率は2019年には全体の1・5%となり、20年にはさらに1・8%へ上昇。今期は2%以上を目指している。
また、協会としても納品先に対し、パレットの返却を呼びかける周知活動を行っているほか、協会HPに各メーカーのパレット回収担当者の連絡先を記載して、納品先が直接メーカーに回収を依頼できる体制も整えている。メーカー同士で連携が取りやすいよう、各社のパレット回収担当者同士を結ぶメーリングリストの利用も開始。これらの施策で、パレット回収率は従来の94%から19年には98・6%まで上昇し、遺失率も3~4万枚あったものが2・1万枚まで削減されるなど効果を発揮している。
(2021年4月20日号)