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食品業界、外装サイズ標準化へ協議会発足

2020.08.04

加工食品のメーカー、卸、小売を中心に民間主体で加工食品の外装サイズ標準化を検討する協議会が発足し、7月30日に第1回会合が開催された。11月末までにT11型パレット(1100×1100㎜)や12型パレット(1200×1000㎜)など「標準型パレット」に高い積載率で積み付けることができる外装箱の普及を促進するガイドラインの策定を目指す。外装箱を製作するための必要事項やチェックリストも盛り込む。

物流標準化アクションプランの指針を具現化

協議会の名称は「加工食品分野における外装サイズ標準化協議会」(座長=味水佑毅・流通経済大学准教授)。構成メンバーはメーカーを代表して味の素、キユーピー、メーカー系物流企業としてF‐LINE、キユーソー流通システム、卸から日本加工食品卸協会、小売からセブン&アイホールディングス、シジシージャパンが参加。オブザーバーとして国土交通省、農林水産省、経済産業省が加わり、日通総合研究所と日本包装技術協会が事務局を務める。同協議会の活動を通じ、3月に国交省が策定した「加工食品分野における物流標準化アクションプラン」が掲げる外装サイズの標準化指針を具体化していく。

会議の冒頭、国交省で物流部門を所管する金井昭彦大臣官房審議官が挨拶に立ち、「持続的な物流を維持するには省人化・自動化・デジタル化を推進しなければならない。その前提となるのは標準化だ」とし、「加工食品業界が率先して外装サイズの標準化に向けたガイドライン策定に取り組むことは大変に心強い」と期待感を表明した。

標準パレット積載に最適なサイズを

議論では、味の素の堀尾仁上席理事食品事業本部物流企画部長が「ガイドラインを策定後、いかに普及させていくかを考え、その上で外装サイズの指針を定着させるとともに継続して活用していくことが重要だ」と強調。「これからは製品開発を行う段階で、包材のことを考慮するのが業界では当たり前になることを目指すべき」と今後の方向性を示唆した。

日通総研の金澤匡晃シニアコンサルタントは「加工食品流通で主流となっているT11型や12型パレットに高い積載率で積み付けられるよう外装箱はJIS規格に基づくサイズで製作することが重要」と指摘。加えて、労働基準法により女性が継続的な手荷役で取り扱う上限は20㎏と定められていることにも言及した。

日本包装技術協会の金子武弘輸送包装研究室長はT11型パレットやロールボックスパレットに外装箱を積載する際に「基準となる包装寸法」について説明。ロールボックスパレットの場合、フレーム部分があることから外のり寸法がT11型パレットと同じでも内のり寸法は60㎜程度小さくなるため、ロールボックスに最適化した外装サイズはパレット用よりも小さくなることを指摘した。

また、小売店の棚割に適した商品の大きさや、最低発注数量とのバランスが求められることから、外装サイズ決定にはマーケティング部門との調整が必要であることも強調した。

キユーソー流通システムの田中修営業本部長は、積み付けに効率的な外装サイズが、標準型パレットとロールボックスとでは若干異なることに触れ、「どちらかに重点を置くとすれば、利用場面がより多いパレットのほうを優先すべき」と意見を表明。
シジシージャパンの永田孝司執行役員商品本部物流事業部事業部長は「製品の流通では、工場から物流センターまでの基幹部分の輸送と、納品段階の店舗配送に大別できる。物量の効率化を前進させるためにはパレットを利用した基幹輸送を重視すべき」と提言した。
(2020年8月4日号)


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