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JR貨物、第2四半期決算は経常赤字に

2020.10.20

JR貨物(本社・東京都渋谷区)の真貝康一社長(写真左)は13日に開かれた定例会見で、2021年3月期第2四半期業績が連結、単体とも経常赤字になるとの見通しを明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大により、輸送量が低調に推移したことが響いた。会見で真貝社長は「収入が大幅に落ち込んだ結果、かなり大幅な経常赤字を余儀なくされる。ただ、下期以降、輸送量が徐々に回復していく中で、通期では連結、単体とも黒字を確保したい」と述べた。

輸送量は5月を底に徐々に回復

同社の9月の輸送実績は、コンテナが前年同月比91・4%の167万7000t、車扱が86・1%の63万2000t、合計で89・9%の230万8000tだった。

コンテナの品目別では、エコ関連物資がリニア新幹線の建設発生土輸送を中心に好調だったほか、積合せ貨物も前年実績を上回った。また、一時大幅に落ち込んでいた自動車部品も91・4%まで回復。一方、紙・パルプや化学工業品が引き続き低調だったほか、食料工業品も外食産業向けビール類や自販機での販売が低調な清涼飲料水が不振だった。

真貝社長は「5月が前年比21%減で底だったが、そこから徐々に回復し、9月は1割減の水準まで戻ってきた。お客様や利用運送事業者からの声を総合すると、来年3月には単月で3%減程度まで回復すると予想しているが、コロナの状況次第で予断は許さない」との認識を示した。なお、10月の輸送動向は、12日までの速報値(災害・曜日補正済み)でコンテナ・車扱合計で93%となっており、回復傾向がさらに進んでいる。

通期では黒字確保を目指す

今期上半期(4~9月)の輸送実績は、コンテナが前年同期比86・2%の897万9000t、車扱が85・9%の346万1000t、合計で86・1%の1244万tとなった。

コンテナ品目別では、エコ関連物資を除く全品目が前年割れ。このうち積合せ貨物は、企業間物流の低迷により前年割れとなったものの、EC需要に支えられた宅配便の伸びもあり、他品目に較べると下げ幅が小さい98・5%だった。

真貝社長は2Q業績の見通しについて「決算作業中であり、数字の詳細は未定だが、収入が大幅に落ち込んだ結果、かなり大幅な経常赤字を余儀なくされる」ことを明らかにした。ただ、通期では「輸送量が徐々に回復しており、現在、積合せ貨物など伸びている分野や品目で営業活動を強化している。通期では何とか連結、単体での経常黒字を確保したい」と語った。
(2020年10月20日号)


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