【宅配・EC物流】丸和運輸機関が今期宅配事業に本格参入
丸和運輸機関(本社・埼玉県吉川市、和佐見勝社長)は今期、宅配事業に本格参入する。今月から、軽貨物トラック350台で米大手EC業者の23区向け宅配を開始し、年内には都内で営業所を開設して2~3000台へ増車。早期に関東での1万台体制確立を目指す。
新事業は「Quick▼Ace(クイックエース)」と名付け、個人事業主として働く独立開業の軽貨物便ドライバーをBtoC専用の配送ネットワークとして組織化し、当日配送を含めた宅配業務を通販事業者から受託する。年内には都内で営業所の開設も予定。荷主について和佐見社長は「世界最大のEC業者がテーブルについている」と説明し、まずは同社の業務で事業基盤を固めたい考え。今後は「まず1万台、その後3万台と増やしていくが、(荷主の大手EC業者は)車5万台でも足りない会社」と事業拡大への意欲を語った。
ドライバーは丸和運輸機関グループの社員と個人事業主の2パターンを想定し、社員から独立創業への道も用意。その際には、丸和運輸機関が必要となる保険やライセンスの取得にかかる費用を全額保証する。「体力が必要な仕事」(同)であることから20代を中心に人材を確保。1日8時間労働を中心とした健全な稼働日数・労働時間を確保するとともに再投資可能な収入を約束することで、ドライバーを呼び込む。さらに「AZ‐COM丸和・支援ネットワーク」に加盟すれば燃料や車両物品購入の割引なども受けられる。
同社では1988年から軽貨物トラックによる「クイック桃太郎便」を開始し、現在は自社便約20台、オーナードライバー約240台の計約260台制で、関東地域を中心に全国で展開。ネットスーパーの宅配や、今回の米大手EC業者のデポ間輸送なども受託している。同事業からクイックエースへ業務を切り替えるドライバーも見込まれるという。
大手EC業者の宅配では、ヤマト運輸などの宅配会社が総量抑制などの施策を進めているが、こうした状況に対し和佐見社長は「CtoCを前提としたネットワークにBtoC貨物を載せたためにうまく行かなかった。当社ではBtoC宅配のノウハウを持つ上、今回、専用のネットワークを作ることで対応可能」と強調。「宅配各社が大手EC業者の配送から手を引いているこの状況を大きなチャンスと見ている」と自信を示した。
(2017年6月6日号)