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佐川急便、大型中継センターを11月に稼働

2020.10.06

佐川急便(本社・京都市南区、本村正秀社長)は9月29日、SGHグループ各社の物流機能を結集した次世代型大規模物流施設「Xフロンティア」(東京都江東区新砂)内にある大型中継センターを公開した。11月から順次稼働を開始し、来年2月の本稼働を目指す。

同センターは1階と3階からなる2層式で、関東エリア5ヵ所の中継センターを集約。効率的な輸送ネットワークの構築と高品質で安定的な物流サービスを提供する。また、これまでの中継センターと比較して施設規模を大幅に拡大。トラック着車台数の拡充や自動仕分機をはじめとしたマテハン設備を導入し、1時間あたりの処理能力を同社の通常の中継センターの5倍となる約10万個に引き上げる。このほか、荷降ろし60台分、荷積み236台、計296台のトラックバースと約250台分の車両待機スペースを完備し、車両待ち時間短縮と周辺道路の渋滞緩和に寄与する。

荷降ろし時間を大幅短縮

荷降ろしバースにはトラック1台につき、2本のコンベアを設置するとともに、荷物をコンベアに流す補助装置「ターンローラー」を導入。これにより、コンベアに荷物を流す際の補助人員が不要となるほか、大型トラック1台あたり最大1時間ほどかかっていた荷降ろし作業を約30分に短縮できるため、ドライバーの作業負荷低減につなげる。

仕分けでは、それぞれの階層に複数の自動仕分機を導入し、マテハン設備の高い処理能力を活かして省人化を実現する。このうち、上層ラインへ運ばれる荷物の仕分けには、「クロスベルトソータ(写真)」を採用した。一般的なコンベアと比べて様々な角度で設置できるため、施設内のスペースを最大限に活かすことが可能。不具合等が発生した場合でも、故障したポイントごとに修理できる。また、貴重品の仕分けでは同社初となる「コンパクトソータ」を導入し、人手で行う仕分け作業を削減する。

行先方面別ごとにシューターを色分け

荷積みエリアでは、行先方面別ごとにシューターを色分けし、広大なスペースを誇るXフロンティア内でも、ドライバーが瞬時に着車場所を識別できる構造とした。自動仕分機が取り扱えない長尺物や段ボールに納まらない荷物は、手押し台車でそれぞれのラインまで届ける必要があるが、作業者が届け先を把握しやすいよう床面にシューターと同色のラインも引いている。また、赤、青、緑など複数の明るい色を施すことで、「これまでの物流施設のイメージを一新したい」という思いを込めたという。

各バースやマテハン設備には監視カメラを715台設置し、施設内のコントロールルームからマテハン設備の稼働状況やドライバーの作業進捗などを一元管理できる体制とした。また、路線システムにより、トラックの行先や運行時間、到着予定時間を管理し、万が一トラブルが発生した場合はシステムを通じてコントロールルームに連絡が入る仕組みとなっている。セキュリティ面では、登録がない車両は施設のゲートが開かない車番認証制とした。
同社は関東エリアの中継センターをXフロンティア内に集約することで、輸送効率が現状比で15%向上するほか、従業員の労働力を3分の1まで削減できるという。今後は、集約した各センターに営業機能を備えつけて運用するとともに、繁忙期などで荷量が増加した場合の受け皿として活用し、輸送品質の維持を図っていく。

SGムービングは美術専用倉庫を完備

SGHグループで大型・特殊輸送を手掛けるSGムービングは、Xフロンティア6階に美術品専用倉庫を設置した。物流倉庫内に美術品専用倉庫を設置するのは珍しく、主に国の美術品や個人所有の貴重品などを保管している。庫内は24時間一定の温湿度を保ち、消防設備にはハロンガスを採用。入退室は一部の従業員のみに限られており、万全なセキュリティ体制としている。このほか、大小様々な形の美術品を梱包するため、梱包資材を美術品の大きさに合ったサイズ・形に加工するオペレーションルームを設けた。
(2020年10月6日号)


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