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20年度の宅配便、48億個超に伸長

2021.08.19

国土交通省はこのほど、2020年度の宅配便取扱個数を公表した。それによると、総取扱個数は48億3647万個となり、前年度から5億1298万個、11・9%増という大幅な伸びとなった。20年度はコロナ禍における巣ごもり消費の拡大でeコマースが急増。これまでECに馴染みがなかった高齢者層などにも裾野が広がった。今期も、コロナ禍の長期化や生活スタイルの変化からECの継続成長が見込まれており、いよいよ〝宅配便50億時代〟が視野に入ってきた。

トラック宅配、ビッグ3で95%を寡占

20年度の宅配便取扱個数の内訳をみると、トラック運送によるもの(トラック宅配便)が47億8494万個となり、前年度比11・5%増。航空等利用運送によるもの(航空宅配便)が5152万個となり、前年度比56・8%増となった。

このうち、トラック宅配便は上位3便(宅急便、飛脚宅配便、ゆうパック)で全体の94・8%を占めており、3社による寡占状態がさらに進んだ。これにフクツー宅配便、カンガルー便を含めた上位5便で全体99・8%を占めている。一方、航空宅配便では、上位4便(飛脚航空便、宅急便タイムサービス等、フクツー航空便、スーパーペリカン便)でのシェアは35%にとどまっており、その他の118便が65%を占める構成となっている。

10年で取扱個数は5割増、20年で9割増に

20年度の宅配便は、1年間で5億個強という大幅な伸びを見せたが、この10年間でも取扱個数が約5割増となっている。2010年度の総取扱個数は32億2000万個であることから、その後の10年で16億1600万個の増加。さらに20年前の2000年度の総取扱個数は25億7400万個で、この20年で88%増、数にして22億6200万個の増加となっている。

今期はいよいよ50億個時代に突入へ

今期の宅配便も、EC市場の裾野拡大やコロナ長期化による巣ごもり消費が継続していることから、取扱個数は増加することが見込まれている。
ヤマト運輸は今期の宅急便の個数予想を20年度比で約2億個増に23億個と想定。7月までの取扱個数も前年同期比9・4%増と増加基調が続いている。佐川急便は7月までの飛脚宅配便の取扱個数は微増、日本郵便の6月までのゆうパックの取扱個数は反動減もあって2ケタ減となっているが、資本業務提携している楽天の自社配送サービス「Rakuten EXPRESS」の扱い分が下期以降に乗ってくるため、増加に転じることが見込まれている。

ヤマトの取扱個数が予想通り23億個に達すれば、それだけで総取扱個数は50億個の大台に乗ってくることになり、今期に50億個時代に突入する公算が高まっている。
(2021年8月19日号)


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