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JR貨物がグループ新中計「2023」スタート

2019.04.04

JR貨物(本社・東京都渋谷区、真貝康一社長)は、2019年度から23年度の5ヵ年を期間とする新たな中期経営計画「JR貨物グループ中期経営計画2023」を策定した。17年度~21年度を期間とする前計画の2年目が終了した時点で、物流や同社を取り巻く事業環境が大きく変化していることを踏まえ、計画を〝ローリング〟したもの。数値目標では、最終年度となる23年度に連結売上高2120億円以上(17年度実績比9・0%増)、経常利益140億円以上(同34・6%増)を目指す。3月29日に会見した真貝社長(写真左)は「唯一無二である貨物鉄道の全国ネットワーク、30年以上にわたりノウハウを積み上げた不動産開発事業という2つの強みを活かし、総合物流企業グループに進化していく」との方針を語った。

新計画では「総合物流企業グループへの進化」を前面に打ち出した。鉄道を基軸に、トラック、倉庫といったグループの総合力を活かし、物流ソリューション機能を強化する。具体的には、東京貨物ターミナル駅で開発が進む大型物流施設「東京レールゲート」のテナントリーシングを推進するほか、貨物駅内や周辺での「駅ナカ倉庫」「駅チカ倉庫」の整備、トラックからコンテナへの積み替えを行う「積替ステーション」の設置を加速する。

また、新技術を活用した貨物駅での作業の効率化・生産性向上も図る。駅構内にある倉庫とコンテナホーム間で無人トラックを運転させるほか、フォークリフト運転の自動化・遠隔操作などを実現することで「スマートターミナル」化を進める。機関車・貨車のIoT化に向けた研究にも力を入れる。

鉄道事業では、需要が旺盛な区間に専用列車を新設するなど商品ラインナップを強化するほか、定温輸送コンテナの導入を促進する。また、コンテナホーム増強による発着能力の向上、コンテナ立体倉庫の設置によるコンテナ取扱能力の拡大、スマホアプリによるコンテナ持ち込みの予約システムを導入することで集配トラックの待機時間削減も進める。

鉄道ロジスティクス、不動産に次ぐ〝第3の柱〟として新規事業の立ち上げも検討する。新規事業は物流以外の事業が対象で、保有土地を活かした植物工場や全国ネットワークを活かした廃棄物リサイクル事業を例に挙げた。

設備投資は5年間で2080億円を計画。前中計での計画投資額1510億円から570億円増となった。このうち東京レールゲートの建設費など「成長・戦略投資」に980億円、機関車・貨車の更新など「維持・更新投資」に1100億円を振り向ける。

数値目標は、最終年度となる23年度に連結売上高2120億円以上、内訳として鉄道ロジスティクス事業1900億円以上、不動産事業220億円以上とした。また、経常利益は140億円以上を掲げた。

真貝社長は「物流を取り巻く環境など社内外の大きな変化を踏まえ、経営計画をローリングした。前計画の基本的な考え方を維持しながら、より具体的な施策を打ち出した」「総合物流企業グループへの進化を遂げることで、当社の基軸である鉄道事業への相乗効果を生み出したい」と語った。また、将来の株式上場については、「グループ全体の会計レベルやガバナンス向上を図るほか、何よりも利益水準を確保することで、計画期間中に上場を見通せるレベルに引き上げたい」と述べた。
(2019年4月4日号)


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