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ハウス食品が清水~大分定期航路の利用を開始

2018.10.02

ハウス食品(本社・東京都千代田区、工東正彦社長)では、海上輸送へのモーダルシフトを拡大する。栃木、静岡の2工場から九州の配送センターへの長距離幹線輸送で、7月から清水~大分のRORO船定期航路の利用を開始した。トラックドライバー不足への対応、環境負荷の軽減のほか、輸送モードの複線化を図ることで平時だけでなく、災害時における安定供給体制を強化する狙いもある。

リダンダンシー確保は“コスト”でなく“投資”

関東工場(栃木県佐野市)、静岡工場(静岡県袋井市)で生産するカレールウ、レトルトカレー、スナック菓子等を対象に、清水~大分の海上ルートをRORO船で輸送し、福岡県内の配送センターに納品する。関東工場分は週1便、静岡工場分は週3便で、今後便数を増やしていく方針だ。

九州まで約20時間で結ぶ清水~大分航路は川崎近海汽船により2016年10月に開設され、18年3月からはデイリー運航となり利便性が向上。当初、ハウス食品では清水港に近い静岡工場の製品のみを想定していたが、内陸起点の清水港経由のモーダルシフト事例もあったことから、関東工場の製品も対象に加えた。

ハウス食品では関東、静岡の両工場から九州向けの長距離幹線輸送でトラックの集車環境が厳しくなり、また、自然災害による鉄道輸送の輸送障害のリスク回避も勘案し、輸送モードの複線化を進めてきた。海上輸送の利用は、東京・大洗~苫小牧、敦賀~苫小牧と限定的だったが、清水~大分の定期航路利用を機に本格化していく。

なお、定期航路利用開始直後の7月上旬、西日本を襲った豪雨では、JR貨物の山陽本線の一部区間が不通となり、とくに九州向けの代替輸送手段としてトラック、海上輸送ともにひっ迫。ハウス食品では直前に海上輸送ルートを構築していたことから、九州向けの商品供給への影響を小さく抑えられた。

関東、静岡から九州向けの集荷日翌々日朝着のリードタイムは従来と変わらず、コストについても「多少のプラスアルファがあっても、許容範囲内に収まっている」(SCM部)。物流の持続性の観点から、トラック、鉄道、海運の3つの輸送モードでリダンダンシーを確保することは、“コスト”でなく“投資”と位置付ける。

納品ロットを改善し、納品回数・台数を削減

このほか、物流環境の変化に対応した各種施策を進めており、昨年6月からは、営業部門と連携し、納品ロットの改善に着手。納品先とあらかじめ設定した最小発注ロットのルールに関し、厳格な運用に改めることで、納品の回数・トラック台数を削減。パレット積載率を考慮した外装設計改良にも取り組んでいる。

また、持株会社のハウス食品グループ本社(本社・東京都千代田区、浦上博史社長)では、持続可能な食品物流の実現を目指す、食品メーカー6社(味の素、カゴメ、日清オイリオグループ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社、Mizkan)による食品企業物流プラットフォーム「F‐LINE」に参画している。

北海道での共同配送や幹線輸送の共同化、来年の九州での共同配送、外装表示の標準化の取り組みを推進。17年3月には味の素、カゴメ、日清フーズとともにF‐LINE㈱に出資し、来年4月に発足させる全国規模の物流会社にハウス物流サービス(本社・大阪市福島区、村田竜比登社長)の物流機能を統合することとなっている。
(2018年10月2日号)


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