「貨物鉄道の強靭化が今後重要」=JR貨物/真貝社長会見
JR貨物(本社・東京都渋谷区)の真貝康一社長は12日の記者会見で、西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震など自然災害が多発していることについて、「今回の異常ともいえる自然災害に対して、貨物鉄道を強くしていくこと、強靭化が重要だと身に染みて感じている。今後、強靭化に向けてJR貨物も努力しないといけないし、関係先にもお願いしていきたい」と述べた。また、10月1日に予定している基本運賃改定については「安全を含めた良質なサービスを提供することが目的であり、ご理解をいただくようお話を続けている」として、予定通り改定に踏み切る考えを示した。
真貝社長は会見の冒頭、一連の自然災害について「貨物鉄道も極めて大きな影響を受けており、お客様に大変なご迷惑をおかけしていることを深くお詫びしたい」と述べるとともに、再開に向けた復旧工事やトラック・船舶による代行輸送に最大限対応していることを強調した。
その上で、今後に向けた課題について「とくに山陽線での災害では、貨物鉄道の基幹線、物流の大動脈でこれだけの災害が起き、不通期間が長期化している。九州発着の貨物が9割減になるなど物流全体を考えても大きな影響が出ている。これからの物流を考えた場合、この異常ともいえる自然災害に対して貨物鉄道を強靭化していくことが重要だと身に染みて感じている。今回の災害を教訓にして、JR貨物も強靭化に向けた努力をしないといけないし、関係先にもお願いしていきたい」と述べた。
また、代行輸送体制のあり方については「我々も利用運送事業者の協力を得ながら最大限の努力を続けているが、結果的には通常輸送力に対し25%程度の確保にとどまった。ドライバーの宿泊施設や駐車場の確保、点呼体制、貨物駅のキャパシティなど様々な制約条件があった中で、今後どれだけ代行輸送力を引き上げられる体制がつくれるのか、今後に向けて詳細に検討していきたい」と語った。
10月の基本運賃改定は予定通り実施へ
今回の災害による収支への影響については、「7月の災害発生以降、1日当たり1億円収入が減少する状態が続いている。ただ、北海道については比較的短期間で復旧のメドが立ち、山陽線についても『10月中』としていた全面復旧から少し早まる可能性も出てきている。これから先は平常通りの収入に戻ってくることに期待している」とした。
10月1日に予定している基本運賃改定については「改定の目的は、労働力不足の中で安定的に社員を確保するとともに、新技術や安全を確保するための投資によって、商品・サービスを向上させていくこと。お客様にはその点について十分にご理解いただくよう、10月1日の実施に向けてお話をしている」と述べた。
(2018年9月18日号)