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ズームアップ 業務量増大で通関士も人手不足?

2018.07.17

国際物流分野の頭脳労働職種である「通関士」の人手不足が顕在化しつつある。2007~17年の10年間で日本の輸出入許可件数は6割増加しているが、通関士の数は1割程度しか増えていない。FTA(自由貿易協定)・経済連携協定(EPA)の進展により通関手続きは高度化・複雑化しており、求められる業務の量と質に対し、要員が十分でない様子もうかがえる。「働き方改革関連法案」の成立を受け、時間外労働の見直しなどが進めば、さらに不足度合いが増す可能性もある。

通関士の募集・補充増、人材の流動化も

2018年4月1日現在の通関業従業者数は1万5358人で、内訳は通関士8107人、通関業務従業者7251人。通関業務従業者数は漸減傾向にあるのに対し、通関士の数そのものは増えている。しかし、「人手不足のために残業が生じている」「人員を増やしてもらえず、1人当たりの業務量が多すぎる」という声も通関の現場からは聞こえてくる。

輸出入許可件数の推移をみると、07年は3273万5000件(輸入1766万7000件、輸出1506万8000件)だったが、17年は5332万7000件(輸入3411万3000件、輸出1921万4000件)で10年間で62・9%増えた。一方の通関士数は07年は6919人、17年は7848人と13・4%しか増えていない。

日本通関業連合会(鈴木宏会長)の女性通関士支援ワーキンググループが昨秋に通関業界で働く人を対象に行ったアンケートによると、月間残業時間が「40時間以上」が20%あり、有給休暇の取得状況も「50%未満」が84%だった。昨年10月8日の輸出入申告官署の自由化以降、通関業務の集約によって「扱い件数が増えて負担が増えた」という意見も見られる。

航空貨物業界では貨物量の急激な増大により人手不足が顕在化しているという。その解消策として、通関業法基本通達改正で可能になった通関業務の「在宅勤務」が有効との見方もあり、「夜間業務が多い上、EC貨物の増大から通関士不足が顕在化しているエクスプレス業者からの期待が大きい」とされている。

なお、「通関部門を強化したい」「通関士が退職してしまったので代わりを探している」――などの理由で、通関士を募集・補充する企業も目立つ。通関業務を内製化するメーカーや商社、物流子会社に一部の人材が流れているほか、申告官署の自由化以降、転勤を伴う通関営業所の統合に対応できず退職するケースもあり、企業単位での通関士不足には人材の流動化という側面もあるようだ。

通関士を増やすため、社員に通関士試験を受験させる企業もある。昨年の通関士試験の合格者は1392人で合格率は「21・3%」。合格率が2割を超えたのは、05年以来で、16年「9・8%」、15年「10・1%」、14年「13・2%」、13年「11・7%」と例年合格率は10%前後。通関士不足を解消するため、通関士試験の合格基準を下げてほしいとの意見もある。
(2018年7月17日号)


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