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【物流】通関連が女性通関士会議で「働き方改革」を議論

2018.03.01

日本通関業連合会(鈴木宏会長)は2月23日、第8回全国女性通関士会議を開いた。鈴木会長(二葉)、岡藤正策理事(阪急阪神エクスプレス)、松本義之理事(日本通運)も臨席し、女性通関士50人が「働き方改革」などをテーマに議論。長時間労働を是正するための方策や多様な働き方としての在宅勤務や副業・兼業、士業としての独立の可能性、申告官署の自由化の影響など幅広いテーマについて活発な議論が行われた。

政府が進める「働き方改革」の具体的施策に沿って通関士の働き方改革について議論。通関士の長時間労働の要因としては、個人の能力差、慢性的な人手不足、生活残業が前提となる低賃金、顧客優先の業界体質、不適切な業務配分などが指摘された。解決策では、個人の能力差をなくすためのマニュアル作成や情報共有、会社に対する適切な人員配置の要望が挙げられた。

通関業法基本通達の改正により昨年10月8日から実施可能になった通関業務の在宅勤務については、人材の確保・定着や通勤経費の削減といったメリットとともに、情報セキュリティ対策、労務時間管理、就業規則の見直し等の課題のほか「結果的に長時間労働になる」という声もあった。また、制度として、細かい実施ルールを定めた「明確な手順書が必要」との提言もあった。

多様な働き方として政府が企業の導入環境を整備している「副業・兼業」については、「通関士は多忙で残業、休日出勤も多く、副業の余裕はない」と報告。通関士の士業としての独立可能性については「独立により地位が向上する」という意見とともに、「顧客との信頼関係」や「トラブルがあった時の責任問題」を課題に挙げた。転職や他部門への異動など通関士の知識を活かした活躍の場についても前向きな意見が見られた。

輸出入申告官署の自由化に関しては、集約や分散によって業務の平準化が図られるというメリットとともに、「件数が増えて負担が増えた」「申告官署と蔵置官署が異なる場合、通関士が申告、立会いなどあらゆるところに気を張っていなければならない」という報告もあった。新制度のもとでの通関士のあり方としては、「柔軟性」「ローカルルールに対応できるスキルの習得」「チーム力」などが挙げられた。

会議では第2期女性通関士支援ワーキンググループ(WG)の活動報告も行われ、通関業界で働く人を対象にしたアンケートの結果を説明。業界の活性化のために最も必要なこととして「働きやすい環境」を挙げ、「働き方改革」のほか適正な料金収受や給与水準の見直し、人員の確保等の課題を提起した。
会議後、岡藤理事は「初めて会議に出席したが、皆さんの考えを聞くことができ自分もインスパイヤーされた。通関業界がますます活性化することが日本の経済の活性化につながる」と感想を述べ、鈴木会長も「通関業の社会的認知度を高めるには、まず社内で通関部門の重要性を意識してもらうことが重要。国際物流ソフトの要として関連業界、一般の人たちにも認知される業界になるには、女性の活躍にかかっている」とエールを送った。

なお、懇談会には財務省関税局から26人が参加。翌24日には女性通関士支援セミナーが開催され、しつもんコンサルタントの河田真誠氏を講師に招き、コミュニケーションについて学んだ。セミナーには税関幹部OBの女性通関士支援サポーター12人も参加し、講演後のグループワークで自身の経験も話しながら、女性通関士との交流を深めた。
(2018年3月1日号)


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