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タイミー、スキマバイト活用して〝荷役分離〟実現

2024.08.01

物流、飲食などの単発アルバイトのマッチングアプリ「タイミー」を手掛けるタイミー(本社・東京都港区、小川嶺代表取締役)は7月26日、東京証券取引所グロース市場に上場したことを受け、東京都内で記者会見し、今後の事業戦略などを説明した。小川氏(写真)はこの中で、物流業界が「2024年問題」への対応を進める中で、ドライバーからの荷役作業分離がテーマになっていることに言及。「荷積みや荷降ろしをタイミーワーカーのスキマバイトだけで行うことがすでに一部で実現している。労働環境の改善など物流業界が抱える課題に対するソリューションとしてタイミーを根付かせていきたい」と語った。

同社は2017年に発足し、18年からタイミーのサービスを開始。「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービスが評価され、登録会員は約770万人(4月末現在)、導入事業所は約25万4000ヵ所におよぶなどバイトマッチングサービスとしては国内随一の規模に成長している。

バイト派遣先は物流、飲食、小売の「3大インダストリー」で9割を占め、このうち物流が44%と最大。倉庫などの物流現場に梱包、ピッキング、検品などの作業を行う労働力を提供している。

小川氏は、今後の成長戦略として「現在、3大インタストリーの市場が1・2兆円だが、サービスの提供先を都心部から地方中核都市に広げることで3・9兆円まで拡大できる。さらにホテル・旅館、介護といった深刻な労働力不足に悩む他業種にも広げていくことで、もっと成長することが可能だ」との見通しを示した。また、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の手法を駆使して、派遣先の業務プロセスを細かく切り分け「〝ここからここまでの業務はタイミーワーカーで可能だ〟という形で業務を可視化し、顧客の労働環境の改善に伴走していくとともに、より難易度の高い業務を任せてもらえるようにしていく」と述べた。

物流業界に向けた今後の展開については、「物流業界では、ドライバーが運転のみに集中できる環境をつくるために『荷役分離』が必要。すでに、朝7時から8時半まで求人を出して、荷積み・荷降ろしをタイミーワーカーだけで実現する事例も出てきている」と、スキマバイトを有効活用することが「2024年問題」のソリューションになっていると強調。

また、今年6月にセンコーと提携して、スポットワーカーを中心とした物流センター運営の実現に向けて実証実験を行っていることを紹介。「タイミーではすでに、スポットワーカーだけ運営する居酒屋『THE赤提灯』も軌道に乗せている。センコー様と一緒に、残業がなく働きやすい未来の倉庫をつくり、物流業界の課題を乗り越えていきたい。導入費用が高いロボティクスだけでなく、タイミーを物流業界のソリューションとして根付かせていきたい」と意欲を見せた。
(2024年8月1日号)


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