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運輸労連6%、交通労連6・5%以上要求=「2024年春闘」方針

2024.01.30

「2024年春闘」に向け、運輸労連(全日本運輸産業労働組合連合会、成田幸隆中央執行委員長)と交通労連(全国交通運輸労働組合総連合、織田正弘中央執行委員長)トラック部会の賃上げ要求方針が出そろった。運輸労連は所定内労働時間賃金の6・0%引き上げ、賃上げ要求を1万5000円中心とした。交通労連トラック部会は6・5%以上、平均1万5800円を目安とした。労組のナショナルセンター・連合が打ち出した「5%以上」を上回る水準とした背景には、トラック運輸産業の賃金水準が他産業よりも低い状況を改善し、労働環境を向上させることで人材の定着率を高め、新たな担い手確保も図る狙いがある。

23年春闘を上回る賃上げ水準に

交通労連トラック部会は23日に中央委員会を開催し、春闘方針を決定した。トラック部会のサンプル15組合の単純平均24万3191円(平均年齢45・1歳、勤続14・3年)を基礎数値とし、定昇分として1・5%程度(3648円)と格差是正と物価上昇分に相当する賃上げ分として5・0%(1万2160円)以上を合わせ6・5%以上、合計平均1万5800円とした。ただし、単組、企業および地域の実態を踏まえた要求を考慮する。23年春闘の5・5%程度(平均1万3700円)を1・0pt上回る要求となる。

トラック部会長を兼任する織田委員長は「他産業との賃金格差や長時間労働の是正を進めなければ、運輸産業の将来を担う若年ドライバーを中心に労働力不足がより深刻化し、物流が止まることが現実となりかねない」と指摘。加えて「コスト高騰により企業経営が厳しい状況にあるものの、全産業より見劣りしているトラック運輸産業の労働条件を改善しなければ、若年労働者から選ばれない職種になりかねない。痛んだ労働環境の改善を進めるためにも〝人への投資〟を積極的に求める」と表明した。また、「労働環境改善の原資は運賃だが、標準的な運賃が改定され4月から施行される。実勢運賃との差額が大きいとの声もあるが、本来は標準的な運賃が当たり前に収受されるべきだ」と強調した。さらに、標準的な運賃は貸切トラックに適用されることから「今後は特積みについても標準的な運賃を告示するよう国に要請する」と述べた。

この機を逃さず、労働者への〝還元〟を

運輸労連は24日に中央委員会を開催。所定内労働時間賃金の定期昇給分1・5%に賃上げ分4・5%を加えた6・0%引き上げを要求水準に定め、賃上げ要求額を1万5000円中心とすることを決定した。23年春闘の5・5%、要求額1万3700円中心を上回る水準となる。

成田委員長は「物流の『2024年問題』は運輸産業に大きな変化をもたらすものであり、国も物流の維持を図るために様々な対策を実施している。私たちもこの機を逃さず、労働条件の向上と労働環境の改善に向け、24年春闘をたたかわなければならない」と訴えた。加えて、日本経済団体連合会(経団連)が16日に発表した「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)で賃上げについて「23年以上の意気込みと熱意で積極的な検討と実施を求めたい」としたことに触れ、「賃上げ機運が昨年以上に高まっている。政界では自民党派閥のパーティー券収入の〝還流〟ということが問題となっているが、今こそ労働者への〝還元〟を行うべきであり、賃上げを実現しなければならない」と強調した。
(2024年1月30日号)


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