ブロックチェーン、医薬物流に活用=DHLらが実証実験
独DHLはコンサルティング大手アクセンチュアとともにブロックチェーン技術を用いた医薬品の管理追跡システムの実証実験を実施し、その結果をトレンドレポートで公表した。
ブロックチェーンは、データや取引内容を維持、記録、認証する新たなデータベースとして注目されている。とくにサプライチェーンマネジメントにおいては、製品にユニークの識別子を割り当てることで最終顧客の手に渡るまでの全履歴を追跡することが可能。情報は関係者がリアルタイムで検証し、記録を改ざんや変更、消去しようとする動きを即時に把握できる。
こうしたブロックチェーン技術の特徴は「医薬品分野での活用で大きな可能性を秘める」(DHL)として、同社とアクセンチュアではライフサイエンス&ヘルスケア業界における活用を検証。ブロックチェーンを用いたシリアルナンバー管理のプロトタイプとして、医薬品のサプライチェーンを追跡する仕組みを6地域で構築した。
同システムでは、医薬品を追跡する台帳を製薬会社、倉庫業者、仲介・販売業者、薬局や病院・医師などの関係者間で共有することが可能。両社が共同で行った実証実験では、ブロックチェーンが70億以上のシリアルナンバーと1秒あたり1500件のトランザクションを処理できることも確認された。
ブロックチェーン技術はサプライチェーンの効率化と信頼性向上への活用が期待され、インターナショナル・データ・コーポレーションの調査によると、全世界におけるブロックチェーン・ソリューションへの支出額は2018年に21億ドルに達し、17年の9億4500万ドルから倍増すると予測。さらに、21年には17年の10倍となる97億ドルを見込む。
一方で、ソリューションの構想・試験的導入段階から実用化への進展には、さらなる技術開発と組織変革、全関係者間の積極的な協調が求められ、DHLでは「ブロックチェーン活用の成否は、全関係者が協力して従来のプロセスを変革し、物流価値を創出する新たな方法を共同で採用できるか否かにかかっている」と指摘している。
(2018年4月3日号)