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花王、入庫からトラック積み込みまでを完全自動化

2024.09.05

花王(本社・東京都中央区、長谷部佳宏社長)は8月30日、少量多品種を生産する豊橋工場の次世代倉庫内の現場環境で、「自動運転フォークリフトによるトラックへの積み込み作業の実用化」に成功したと発表した。豊田自動織機(本社・愛知県刈谷市、伊藤浩一社長)との協働により実現したもの。10月に本格導入し、日常的に稼働を始める。生産工場から次世代倉庫内への製品入庫から出庫までに加え、トラックへの積み込み作業までを自動化することにより、今後の業務効率化や労働力不足への対応に貢献する。

ヘアケア・スキンケアなど少量多品種の製品を生産する豊橋工場では、2023年3月に次世代倉庫が完成し、工場から製品を入庫、仕分け、出庫するまでを自動化することにより、柔軟な物流体制への対応を進めてきた。しかし出庫後のトラックへの積み込み作業は、荷物やトラックの都度異なる規格への対応や停止位置の誤差調整、長距離輸送に耐えられる荷崩れ防止の養生が必要なことから、人の経験を活かしたフォークリフト運転技術が必要だった。

そこで花王は、積み込み作業の自動化に向けて21年から豊田自動織機と協働を開始し、24年7月に自動運転フォークリフトの実用化に成功。試験環境ではなく、現場での実際のオーダー・輸送を伴う導入は、日本で初めてとなる。実用化に成功した自動運転フォークリフトは10月に本格導入し、日常的に稼働する予定。これにより製品入庫からトラックへの積み込みまで完全自動化された倉庫が実現する。

今回は、豊田自動織機が開発した「トラック荷役対応自動運転フォークリフト」を採用。3次元位置センサーを用いたトラックの位置検出やガイドレスでの自動運転に加え、AIを搭載することで、画像認識・ディープラーニングによるマーカーレスでのパレット位置・姿勢検出を可能とした。荷役位置を自動で判断しながらトラックまでのアプローチ走行経路を自動生成し、トラックの停車位置や積荷の姿勢が一定でない状況下でも荷役を自動化できる。

花王では、自動化を促進するロボットフレンドリーな倉庫環境の構築と、製品入庫からトラックへの積み込みまでをスムーズに自動化するオペレーション設計を実施。さらに、トラック輸送にも対応した業務プロセスの構築や倉庫内の設備を制御するITシステム(WCS)との連携を行った。豊田自動織機の技術をもとに、花王の次世代倉庫の環境にいち早く導入するための仕様検討を両社で行い、今般の実用化に至ったもので、引き続き、さらなる効率化を目指した協働を続けていく。

なお、自動運転フォークリフトは次世代倉庫のみならず、国内外の花王グループの生産・物流拠点への導入も検討。業界内でも広く活用されるよう知見を広げていくことにより、社会課題となる、労働力不足や能率的で柔軟な働き方への対応を進めていく。
(2024年9月5日号)


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