物流革新法案、荷主3000社が対象=政府
政府が13日に閣議決定した物流革新に向けた関連法改正案で、規制対象となる荷主(特定荷主)は3000社程度となることがわかった。荷主と同じく規制対象となる特定物流事業者はトラック運送業が400社程度、倉庫業が100社程度を想定している。また、トラック事業者に対しては特定荷主・特定物流事業者への規制とは別に、数百社程度の事業者に対し、トラックの多重下請構造の是正に向けた義務を課す。
トラックで輸送される国内の貨物輸送量(重量ベース)の50%程度を占める物量に関わる荷主を「特定荷主」と定め、規制対象とする。貨物量の基準はトラック輸送に限定し、鉄道・内航海運などトラック以外の輸送分は除外する。これによりモーダルシフトを促進する狙いがある。特定荷主は物流効率化の中長期計画を所管官庁(経済産業省、農林水産省、厚生労働省、財務省など)に提出しなければならない。併せて、物流改善の責任者となる役員クラスの担当者「物流統括管理者」を任命することが義務化される。中長期計画に基づいた取り組みが不十分な場合、国は助言・指導を行い、改善が見られなければ勧告・命令を発出する。命令に従わない場合は罰金が科せられる。改正法成立の2年後に施行する。
大手トラック、倉庫も規制対象に
特定荷主に加え、大手物流事業者も「特定物流事業者」に指定され、規制対象となる。車両数200台以上など事業規模の大きなトラック事業者や、保管貨物量の規模が大きな倉庫業者が指定される。国は特定事業者の数について、トラックは上位400社程度、倉庫は上位100社程度を想定。対象企業の基準は、国が検討会などを設置し、事業者の意見などを踏まえながら決定する方向。
その他、規模の大小にかかわらず、すべての荷主・物流事業者に物流改善の努力義務が課せられる。
「下請管理簿」により荷主は一定の配慮を
物流革新の改正法案はトラック運送業の多重下請構造の是正も目的としている。元請となるトラック事業者は荷主から依頼された輸送業務を実施する際、下請の名称などを記載した「実運送体制管理簿」の作成が必須の義務となる。違反事業者は行政処分の対象となる。元請は「実運送体制管理簿」(下請管理簿)を荷主に提出する。荷主は管理簿を受け取り、実運送を行うトラックの社名を把握する。荷主は下請に対して何らかの指示を行う必要はないが、輸送の安全を妨げる行為(違反原因行為)が生じないよう配慮する義務があるため、国交省のトラックGメンが荷主を監視する際に、実運送体制管理簿の把握の有無が関わってくる場合がありそうだ。
元請が下請けとの運送契約を結ぶ際は、提供する役務内容とその対価(附帯業務料、燃料サーチャージなどを含む)を記載した書面の交付を義務付ける。また、元請には下請が適正な運賃収受を行えるよう配慮する努力義務を課し、大手元請には下請利用の「管理規程」作成と管理責任者の選任が義務化される。改正法成立の1年後に施行する。
(2024年2月20日号)