ベルーナが埼玉の自社拠点を増強、総面積約20万㎡に
ベルーナ(本社・埼玉県上尾市、安野清社長)は23日、自社物流拠点である「吉見ロジスティクスセンター」(埼玉県吉見町)を増築し、竣工式を行った。増築棟(写真)は延床面積約9万8350㎡で、2014年に竣工した既存棟の約10万212㎡と合わせ、総延床面積を約19万8563㎡に増床。保管能力も従来の約700万点から1100万点に拡充した。8月中に稼働を開始する。
「吉見ロジスティクスセンター」は取り扱いアイテム数や在庫数の拡大に対応するため、2014年8月に開設。今回の増築は、通販事業で利用している外部倉庫の在庫を集約することで、倉庫賃貸料の削減を図るほか、ベンダー物流の引き込みによる商品横待ち費用の削減、データベース活用事業が展開する物流受託ビジネスのキャパシティ拡大を目的に実施したもので、投資額は約130億円。
23日、増築棟の内部をメディアに公開した。1階が仕分け・出荷エリア、2階がピッキングエリア、3~4階が自動倉庫を備えた保管エリアという構成。同社初の取り組みとして、2階に作業員の搬送作業を代替する133台のAGV(自律走行搬送ロボット)を導入したほか、作業員がピッキング作業を行う37ヵ所の「G2Pワークステーション(WS)」を整備。2階全体を「G2P(Goods To Person)エリア」とすることで、作業員の歩行削減・負荷軽減を徹底した。
具体的には、AGVが商品入りの折りたたみコンテナ(オリコン)を積んだ「GTP棚」をWSへ搬送。GTP棚と接続したWSのLED照明が点滅することで、ピッキングする商品の順番を作業員に伝える。作業員がピッキングした商品は出荷検品エリアでの作業を経て、1階の出荷場へ運ばれる。G2Pの採用により、ピッキングにおける作業時間は従来比で約20%削減できるという。また、GTP棚は2008台を導入した。
出荷の指示を受けた自動倉庫の商品は1階の仕分けエリアに送られた後、バーコードをスキャンするだけで送り先ごとに自動仕分けするシステム「マトリクスアソート」によって仕分けられ、検品・梱包を終えて出荷される。センターでは人気度や受注量ごとに商品がランク付けされており、増築棟では主に売れ筋で出荷量の多い高ランクの商品を取り扱う。
環境面にも配慮し、屋上に発電量2943kwhの自家消費型の太陽光発電設備を整備。エネルギー創出により、年間1789tのCO2排出量を削減する。昨年7月にはセンターが経済産業省から「エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画」の認定を取得していることから、購入電力の非化石化の取り組みなどを通じて、付加価値の創出と脱炭素型経済指標である炭素生産性の向上を図る。
竣工式で挨拶した安野社長は「増築棟にはAGVとWSを設けたG2Pエリアと、太陽光発電設備という2つの特徴がある。これらを活用し、効率的な物流システムの再構築を図る」と強調。「このセンターをフルキャパシティで活用できるよう取り組んでいきたい」と意欲を見せた。
(2023年8月29日号)