【タンクコンテナ】危険物物流で協業の動きが加速
危険物物流業界で協業の動きがますます加速してきた。三菱ケミカル物流(本社・東京都港区、福田信夫社長)と日本トランスシティ(トランシィ、本社・三重県四日市市、小川謙社長)は7月3日に合弁会社を設立。日陸(本社・東京都千代田区、能登洋一社長)とエヌアイケミカル(NIC、本社・千葉市美浜区、安晝浩一社長)もこのほど業務提携に合意した。危険物物流に対するニーズの高度化・多様化に対応するために、設備の相互活用・補完する動きが高まっている。
設備やノウハウを活用・補完
化学品業界では業界再編による生産拠点の統廃合、製品の高機能化、原料調達のグローバル化が進み、物流事業を取り巻く環境が変化。危険物物流においても小ロット化への対応等が求められている。また、生産集約などを背景に大手化学メーカーの共同物流も活発化している。
こうした中で、三菱ケミカル物流とトランシィはケミカルワークステーション事業を目的とする合弁会社「四日市ケミカルステーション」を設立。近年増加傾向にある、ISOタンクコンテナで輸出入される液体化学品の荷姿変更、保管、加温等の附帯作業、空容器洗浄、メンテナンスまでを総合的に手掛ける予定だ。
日陸とNICの業務提携では、NICが建設する1000㎘クラスタンク2基について日陸と長期賃貸借契約締結を結んだのを機に、タンク、危険物倉庫、マルチワークステーションなど双方の事業資源の有効活用と物流サービス能力の補完を目指す。今後、両社事業拡大に寄与する設備投資案件など含めた検討も進める。
築港(本社・神戸市中央区、瀬戸口仁三郎社長)も多様化する顧客ニーズへの対応と投資効率の観点から、同業他社との協業を推進。最近では、松木運輸(八代港)、櫻島埠頭(大阪港)、名港海運(名古屋港)と危険物倉庫運営において提携し、旺盛な保管需要に応えるためにキャパシティ増強を図った。
また、宝ケミカル(本社・名古屋市港区、山内雅景社長)が名古屋港9号地で取得した土地の一部をローリー会社の中部液輸(本社・名古屋市港区、狭間容子社長)が購入。宝ケミカルのタンクターミナル、危険物倉庫、中部液輸のローリー輸送、ISOタンクコンテナ保管施設との将来的な協業可能性も模索されている。
危険物物流はニッチな分野で、化学品、危険物を取り扱うノウハウや高度な知識も必要となる。プレイヤーも限られており、消防法上の規制対応も含めて設備投資額も大きい。協業が進む背景には、互いの機能や営業力を補完し合うことで投資効率を高める狙いもありそうだ。
(2017年8月15日号)