JR貨物、7月のコンテナは1.0%減
JR貨物(本社・東京都渋谷区、犬飼新社長)の7月の輸送実績は、コンテナが前年同月比1・0%減の155万2000t、車扱が0・8%増の61万9000tとなり、合計では0・5%減の217万1000tだった。引き続きコロナに伴う需要低迷の影響は受けたものの、前年の災害影響からの反動もあり、ほぼ前年並みの水準となった。
コンテナ品目別では、紙・パルプが減産により低調だったほか、自動車部品は半導体不足による影響が継続して減送。一方、積合せ貨物はブロックトレインの運転開始、食料工業品は飲料・アイスの需要増に伴う砂糖の発送が好調だった。家電・情報機器はエアコンの需要回復に加え、一部顧客のモーダルシフトが増送に寄与した。
車扱は、ガソリン需要が好調だった一方、石灰石が前年を大幅に下回った。
17日に会見した犬飼社長(写真左)は「コロナ前の19年7月との比較では、まだ10%近い減少が続いている」と述べ、コロナ影響から脱していないとの認識を示した。
8月の大雨で運休相次ぐ「大きな打撃」
8月に入ってから東北地方を中心に大雨被害が起きていることについて、犬飼社長は「ご利用の皆様にご迷惑をおかけしており、お詫びしたい。3日から各地で運休が発生し、16日現在で計422本の運休が出た。お盆前に荷物の送り込みが活発になるタイミングだったこともあり、お客様には大変ご不便をおかけするとともに、当社にとっても大きな打撃だった」と述べた。大半のルートですでに運転再開しているが、17日現在、奥羽線の秋田貨物駅~大館駅間が不通となっており、復旧のメドは立っていない。
先般公表された2023年3月期第1四半期決算で、通期見通しを下方修正したことについて、犬飼社長は「当初は1Qが終了する6月時点で、コロナ影響から脱するだろうとの見通しを立てていたが、まだ戻り切っていない品目がある」と修正理由を説明。和氣総一朗・執行役員鉄道ロジスティクス本部副本部長兼営業部長は「新たな引き合いなどが増えている一方で、コロナ影響などでベースの荷物が減ってしまっている。今回、お盆前の最需要期にお客様にご不便をかけてしまい、お客様の中で再び鉄道輸送に対する不安感が高まることを懸念している」と述べた、また、「2024年問題」については「お客様の中でだいぶ浸透している一方で、まだまだ『何とかなるだろう』という考えもあるようだ。また、お客様の窓口となる物流部門では危機意識を持っていても、社内全体では浸透していない部分がある。そこをトップセールスなどを通じて増送につなげていきたい」との考えを示した。
国交省の中間報告「非常に意義深い」
国土交通省の「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」が7月末に中間とりまとめを行ったことについて、犬飼社長は「貨物鉄道が全国一元的なネットワークとして大事な輸送モードであるとの認識を国に示していただいたことは非常に意義深い。また、その役割を果たしていくために、14項目にわたる課題を整理していただいた。今後はアクションプランに落とし込みながら、期待に応えていくとともに、社会課題の解決にも貢献していきたい」と述べた。
(2022年8月23日号)