楽天グループ、JPとの協業進展で「きょう楽」も?
楽天グループ(本社・東京都世田谷区、三木谷浩史会長兼社長)は日本郵便(JP)との協業により、当日配送サービスを開始する方針にあることを明らかにした。21日に都内で開催した「楽天EXPO」内の講演で三木谷氏が公表したもの。JPとの間で、「楽天フルフィルメントセンター(RFC)」から配達局への直送を開始したことにより「コストが安くなり、早く届けることもできるようになった。RFCを使うことで間もなく(翌日配達サービスである)『あす楽』を通り越した『きょう楽』ができるところまで来ている」とアピールした。
楽天とJPによる合弁会社・JP楽天ロジスティクスが運営する楽天市場出店者向けのフルフィルメントサービス「楽天スーパーロジスティクス」では従来、RFCから購入者までの配達をJPのネットワークで行っていた。具体的には、各RFCから引受局へ集荷された商品を配達区分局へ幹線輸送した後、配達局へ移送した上で宅配していたがタッチポイントの多さからリードタイムが課題となっていた。
そうした中、今年4月より「RFC流山」(千葉県流山市)から配達局への直送便を開始。成果を得られたことで、2022年第3四半期(7~9月)中を目途に「RFC枚方」(大阪府枚方市)にも展開する計画にある。三木谷氏は、楽天EXPOに参加した楽天市場出店者らに対し、「(楽天スーパーロジスティクスの)枠もそれほどないので興味がある人はぜひ利用してほしい」と呼びかけた。
楽天スーパーロジスティクスの利用店舗も拡大しており、6月時点で5000店舗を突破。効率的かつ迅速なオペレーションにより、「楽天スーパーセールでもほぼ遅れのない状況に近づきつつある」(同)ことも強調した。楽天市場における注文商品の約2割がRFC出荷品であることも紹介。さらなるオペレーションの効率化とサービス改善を推進する方針を示した上で、「Amazonと違うのは、ちゃんとした配送業者が届けているということ。商品も丁寧に扱い、丁寧に届けている」ことをPRした。
今後は、楽天市場における注文ボリュームなどの情報を共有し、配送手法を最適化することでさらなる効率化を図る。
また、2023年までに福岡県粕屋町、東京都八王子市、大阪府八尾市の3ヵ所に、自動化・省人化を進めた最新鋭の物流施設を開発しており、これらの拠点も物流の効率化・迅速化・精緻化に貢献する。配送面においては、「置き配」対応や「おまとめアプリ」によるまとめ配送、配達日表示の精緻化、およびドローンやUGV(無人地上車両)の活用など、多様化するニーズへの対応を進める。
(2022年7月26日号)