23年度の宅配便、微増にとどまる
国土交通省は23日、2023年度の宅配便取扱個数を公表した。それによると、総取扱個数は50億733万個となり、前年度から145万個、0・3%増となった。22年度に引き続いて50億個の大台を超えたが、伸び率自体は鈍化した。このうち、取扱個数全体の98%を占めるトラック宅配便は0・2%減となり、14年度以来9年ぶりの前年割れとなるなど、個人消費の低調によるEC需要の停滞を反映した結果となった。
コロナ特需以降、伸び率は年々鈍化
23年度の宅配便取扱個数の内訳をみると、トラック運送によるもの(トラック宅配便)が49億1401万個となり、前年度比0・2%減。航空等利用運送によるもの(航空宅配便)が9331万個となり、前年度比15・5%増だった。
ここ数年の取扱個数の推移を振り返ると、伸び率は年々縮小している。20年度は新型コロナによる巣篭り需要の拡大という特需もあり、5億個強という大幅な増加を記録。翌21年度はその反動もあって1億個強という増加にとどまった。22年度は下期からのEC需要の低迷もあって、増加個数は5000万個強に半減。23年度はわずか145万個の増加にとどまった。
トラック宅配便だけの推移でも、20年度以降、伸び率は年々縮小し、23年度はついに14年度以来9年ぶりとなる前年マイナスとなった。
宅配便上位3社も伸び悩み
トラック宅配便のうち、上位3便(宅急便、飛脚宅配便、ゆうパック)によるシェアは95・1%で、前年度から0・1pt上昇。これにフクツー宅配便とカンガルー便を含めた上位5便で全体の99・9%とほぼ市場全体を占めている。
各社ごとでは、ヤマト運輸の「宅急便」は1・9%減の22億9582万個となり、シェアは22年度の47・5%から46・7%に低下。佐川急便の「飛脚宅配便」は1・0%増の13億7285万個となり、シェアは0・3pt増の27・9%となった。日本郵便の「ゆうパック」は3・0%増の10億966万個で、シェアは前年度の20・2%から20・5%に上昇した。
一方、航空宅配便では、上位4便の飛脚航空便、宅急便タイムサービス等、フクツー航空便、エクスプレスハイスピード(旧・スーパーペリカン便)のシェアが22年度の24・8%から20・9%に低下。その他137便の取扱個数が21・5%増と大きく伸長し、シェアも23年度の75・2%から79・1%に高まった。
減少続くメール便、「ゆうメール」が市場独占
23年度のメール便の取扱冊数は、前年度比10・5%減の36億1007万冊となり、前年度から約4億冊の減少だった。このうち日本郵便の「ゆうメール」だけで約8割(79・6%)のシェアを握っており、次いでヤマト運輸の「クロネコDM便」が17・4%、ポストウェイの「ポストウェイメール便」が2・2%となっており、この3便で全体の99・2%を占めている。
また、ヤマト運輸は24年1月末で「クロネコメール便」のサービスを終了し、「ゆうメール」に委託しているため、24年度以降、メール便市場は日本郵便が市場をほぼ独占する形になる。
(2024年8月29日号)