JR貨物・22年度事業計画 単体経常利益38億円を計画
JR貨物(本社・東京都渋谷区、真貝康一社長)は3月31日、2022年度の事業計画を発表した。収支想定では単体の経常利益38億円を見込むほか、連結ベースでは経常利益54億円を確保する計画。設備投資は成長戦略投資と維持更新投資を含め総額376億円を計画する。
22年度は、カーボンニュートラルに向けた取り組みの加速や、2024年問題への対応など物流を取り巻く環境が大きく変化していることを踏まえ、「JR貨物グループ長期ビジョン2030」で掲げる「物流生産性向上」「安全・安心な物流サービス」「グリーン社会の実現」「地域の活性化」という4つの価値を実現するための取り組みを推進。「安全の確立」を大前提として、①脱炭素化②強靱化③シームレス化――の3つの視点に資する施策に力を入れる。
主な取り組みは〈図表〉の通り。このうちカーボンニュートラルの推進では、今年度からインターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)を導入し、CO2削減に寄与する設備投資を推進していく。また、安全面では昨年末に発生した脱線事故を踏まえ、コンテナ偏積を発生させない対策を強化する。具体的にはポータブル重量計や輪重測定装置の増設などハード対策を実施する。
収支計画では、単体鉄道事業の収入1468億円に対し、営業費用が1522億円となる結果、54億円の営業赤字を想定。31日に会見した犬飼新・取締役兼常務執行役員経営統括本部長は「鉄道事業収入については、6月までコロナの影響が残るとの想定で組んでいる。一方、費用については人件費や燃油を含めた調達コスト、さらには減価償却費が増加している」と述べ、単体での鉄道事業の黒字化は難しいとの見通しを示した。一方、関連事業が安定的に利益を生み出す結果、単体で38億円の経常黒字を確保する計画。
また、376億円の設備投資計画の内訳は、成長戦略投資が220億円、維持更新投資が155億円。成長戦略投資では今年5月と7月に竣工する「DPL札幌レールゲート」「東京レールゲートEAST」の建設費用に充てるほか、外部からの賃貸マンション物件の取得なども計画。一方、維持更新投資では脱線事故対策に加え、機関車の新製などを計画している。
(2022年4月5日号)