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【物流効率化】日清食品が即席めん、幹線輸送をパレット化

2017.07.18

日清食品(本社・東京都新宿区、安藤徳隆社長)は、「カップヌードル」など即席めんの幹線輸送(工場~営業倉庫)を「バラ積み」から「パレット輸送」に切り替える。即席めんのような軽量商品はトラックの積載効率を上げるため、長い間バラ積みが主流だったが、商品の安定供給を念頭にトラックドライバーの労働環境を改善するため、パレット化に踏み切った。荷役作業が効率化されるためドライバーの待機時間を短縮できるとともに、従来から使用しているトラックの荷台幅に合わせたサイズのパレットを採用することで、積載率も2割ダウン程度に抑えられるという。
「1200×1000㎜」サイズを採用

バラ積みは積み込みの時間や待機時間が長いため、ドライバーに敬遠されやすい。日清食品では従来、商品の転送機能を工場に持たせていたため出荷バースが混雑し、積込みまでにトラックが2時間待機することもあった。そこで第1弾として、転送機能を営業倉庫に移管し、構内での待機時間を2分の1~4分の1に短縮した。

取り組みの第2弾として、パレット化を検討。当初、一貫輸送用として規格化され、食品業界で主流の「1100×1100㎜」(T11)を検討したが、バラ積みで目いっぱい積んだ場合を100%とすると、積載率が50~60%まで落ちると試算。このため「T11」を断念し、積載率80%弱を維持できる「1200×1000㎜」サイズの採用を決めた。

バラ積みで積み込みに2時間、下ろすのにそれぞれ2時間かかっていたのが、パレット化によりそれぞれ30分程度に短縮。荷役作業が効率化されるため、構内での待機時間も1時間程度減らせる。ドライバーの拘束時間をトータルで4時間削減できるため、運送会社も車両の稼働率を上げられる。

まず関東工場(茨城県取手市)の袋めんの出荷ラインをパレット用に改造し、トライアルを開始。同工場に加え、静岡工場(静岡県焼津市)、下関工場(山口県下関市)でも今夏中旬にライン改造工事が完了する。来年8月から稼働予定の新工場「関西工場」(滋賀県栗東市)でもパレットでの出荷体制を整える計画だ。

従来、関東工場では構内で2時間待機し、2時間かけて商品を積み込んでいたのが、パレット化したことでそれぞれ30分となり、計1時間程度でトラックが出発できるようになった。山崎宏取締役SCM部長は「今は運送会社が荷主を選ぶ時代。ドライバーが嫌がる仕事は引き受けてもらえなくなる」とし、労働環境改善の必要性を強調する。

バラ積みが主体だった日清食品では、全体の7割で荷台幅2410㎝のトラックを使用しており、「1200×1000㎜」のパレットだと18枚×2列の計36枚載せられるため積載効率がいい。ただし、食品業界ではメーカー、卸とも「T11」が普及しており、卸店保管設備が「T11」対応になっているケースがあるため、パレット配送については事前の協議が必要となる。

現在、一部の卸とは「1200×1000㎜」のメリットを活かした納品をトライアル中。同パレットは長方形のため比較的どんな商品にも合わせやすく、「T11」と同パレットを倉庫内で使い分けることで保管効率を上げられることから、平置きをターゲットにパレット納品を模索する。

中距離で「中継輸送」の導入検討

日清食品では2014年以降、安定した輸送力の確保に向け、800㎞以上の長距離輸送の90%で海上・鉄道輸送へのモーダルシフトを実現。500㎞前後以上の中距離トラック輸送についても、ドライバーの日帰り運行を実現する「中継輸送」の導入を検討している。また、物量の波動の大きい2次配送の距離を短くするために、倉庫の分散化を模索している。

今年6月中旬からは、北海道帯広エリアへの商品配送で、日清食品の即席めんとサントリーの飲料を同じトラックに積み合せる共同配送をスタート。このほか、使用するトラック台数を削減し、構内混雑を緩和するため、資材調達のトラックを製品輸送に活用するなど資材調達のパレット化にも取り組む。

(2017年7月18日号)


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