日陸がケミロジのケミカルタンク事業を取得
日陸(本社・東京都千代田区、能登洋一社長)は10月1日付で、伊藤忠商事グループのケミカルロジテック(本社・東京都港区、水田敬二社長)のケミカルタンク事業を譲受する。同社の名古屋ケミポート(名古屋市港区)で行っているケミカルタンク事業を分割し、同日付で設立する新会社「NRSケミカルセンター」に継承移管。日陸がその全株式を取得し、設備と運営、従業員24人を引き継ぐ。同社ではケミカルタンク事業の拡大を目指しており、今回の取得によりグループのタンクの収容能力は4万3410KLとなる。
輸送、フォワーディング事業とシナジー
日陸は創業以来、タンク貨車、ローリー、ISOタンクコンテナによるバルク輸送を強みとしている。保管については、国内では6エリア9ヵ所で危険物倉庫を展開。海外では6エリアに拠点を構えている。ケミカルタンク事業に関しては1981年に高石ケミカル(大阪府高石市)を設立し、2017年12月には東京液体化成品センター(TCC)をグループ化するなど近年は同事業の拡大に意欲を示していた。
「有機化学品の国内生産は素材原料といった汎用品から高機能品にシフトし、汎用品は内需に対応するため輸入に切り替わっていくことが予想される。海外からの大量輸入への対応力を強化するとともに、バルク輸送とのシナジーを創出するため、ケミカルタンク事業の拡大を検討してきた」と能登社長は話す。TCCの川崎、名古屋のケミカルタンクは無機化学品に特化しており、有機化学品への対応も課題となっていた。
ケミカルロジテックの名古屋ケミポートは200~1500KLのタンク33基を配備し、うち22基がSUS製。桟橋の受け入れ能力は西が2万DWT、東が5000DWT。14年には消防法危険物第4類第1石油類からマルチパターンで荷姿変更を行える「マルチワークステーション」を開設し、17年には構内で初めての危険物倉庫も開設。桟橋側の遊休地にはタンクの増設余地もある。
同社では、ケミカルロジテックの「マルチワークステーション」と日陸のISOタンクコンテナ、IBC(中容量容器)のリース、フォワーディング事業とのシナジーを見込むほか、18年2月に開業した中部物流センター(愛知県弥富市)および輸送部門の名古屋輸送事業所(名古屋市港区)との連携により、保管から輸送までのオペレーションを効率的に展開し、総合的な化学品物流サービスが強化されることから、今回の株式譲受を決めた。
なお、同社では国内事業で危険物倉庫の機械化・IT化により生産性向上を推進するとともに、機械化が難しいバルク輸送については輸送能力の増強を図る。現在、自社のドライバーは約170人で、9ヵ所の輸送営業所の自社比率は平均すると47%だが、10年間で自社の輸送能力の倍増を目指す。「目標は5年で1・5倍、10年で2倍」(能登社長)を想定しており、人材確保のための待遇改善にも取り組む。
能登社長は「当社は化学品の総合物流会社のリーディングカンパニーを目指している。それぞれの機能において競合する企業はあるが、総合的にワンストップで対応できることを強みとしていきたい。そうした意味で、今回の名古屋でのケミカルタンク事業の取得は当社にとって大きな力となる。規模を追求するのではなく、安全、高品質にこだわったサービスを提供していく」と話している。
(2019年7月18日号)