東洋トランスがモスクワ向け鉄道混載サービスを開始
東洋トランス(本社・東京都中央区・高橋勲社長)は13日、シベリアランドブリッジ(SLB)を活用したモスクワ向け貨物混載サービス「MOSCOW EXPRESS」を6月17日から開始すると発表した。リードタイムは約25日と海上輸送と比べて約2分の1と短い上、輸送コストはほぼ同等。航空よりもコストが安価なことから第3の輸送モードとして期待されている。
同サービスでは、横浜港から貨物をウラジオストク港まで海上輸送し、東洋トランスのロシア現地法人で通関ライセンスを保有しているTB TOYO TRANSのウラジオストク支店が通関業務を担う。
その後、ウラジオストクの貨物駅から約9日間かけてモスクワのシリカートナヤ駅まで提携会社FESCOのブロックトレインで鉄道輸送し、同駅近隣のFESCO TRANS社のCFS(コンテナ・フレイト・ステーション)でデバンニングを行い、保管する流れ。追加オプションとして荷主の指定配送先までのトラック配送も可能となっている。
今年度は約50個のコンテナを輸送する予定。運行スケジュールは隔週で、来年度からは週1便での運行を目指す。現在は機械品などをターゲットとし、将来的には輸送レギュレーションなどを把握した上で日雑品や食品等の混載輸送も実施していく考えだ。
東洋トランスは1969年にシベリアランドブリッジを利用した欧州向け鉄道貨物輸送を開始。80年代にはアジアとヨーロッパ・中東を結ぶ基幹ルートとして多くの貨物を取り扱っていた。91年の旧ソ連崩壊後も関係各社との連携を築き、最短距離で鉄道を結ぶSLBの優位性を最大限に活かしたルートの再構築に取り組んでいる。
昨年度は国交省によるシベリア鉄道を利用したモスクワ向けのパイロット事業にも参画。精米および電子ピアノ・電動工具など2件の試験輸送を実施した。
高橋社長(写真)は「現在のSLBはロシア向けの海上輸送と航空輸送の中間の役割を担えるルートとなっていると同時に80年代の最盛期と比較しても輸送品質は大きく進化していることが実証されている。新しいルートとして各荷主様に十分なメリットを提供できると確信している」とし「将来的にはモスクワを基点に東欧圏にも進出できれば安定的なサービスとしてウィークリーでの提供が可能になる」と抱負を語った。
(2019年5月21日号)