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運輸労連/定期大会、新委員長に全日通の成田幸隆氏

2023.07.11

全日本運輸産業労働組合連合会(運輸労連)は5、6日の2日間、第56回定期大会を札幌市で開催した。2023~24年度の運動方針と23年度の予算を承認したほか、役員人事では難波淳介中央執行委員長が退任し、新たな中央執行委員長には成田幸隆氏(全日通労働組合中央執行委員長、写真)が就任した。成田氏は全日通中央執行委員長を兼務する。

難波氏は4期8年の間、運輸労連の中央執行委員長を務め、運輸産業の労働運動を主導した。また、23年間にわたって産業別労働組委運動に従事した小畑明中央副執行委員長が退任した。

定期大会の開会にあたり挨拶に立った難波委員長は、2023年春闘をふりかえり、「今季春闘の結果をみると、トラック運輸産業と他産業との解決金額の差は例年以上に大きい。収入の産業間格差はまた広がりそうだ。企業間の人材確保に向けた動きは激しくなってきている。私たちはトラック運輸人材の確保に向けて対策を急がなければならず、24年以降の賃金労働条件引上げの重要度は増してきている。賃金への転嫁が急務となっている」と訴えた。加えて、「物流を止めないため、サプライチェーン全体最適化の観点より、収益の分配を自社に留めることなく、事業継続のパートナーである物流部門への転嫁を求め、運賃料金改定交渉を行うべきだと労組のほうから会社の背中を強く押してほしい」と述べ、「トラック運輸産業の重要性が自然災害等緊急事態対応ではない場面でスポットライトが当てられている瞬間に私たちは立ち会っている。物流を止めないためにトラック人財確保に向けた魅力ある職場・産業を作り出すチャンスだ」と呼びかけ、「私たちの行動でトラック運輸産業を魅力ある産業にアップデートしていこう」と大会参加者を激励した。

新任挨拶に立った成田新委員長は、「2024年問題」をはじめ、トラック運輸産業は課題が山積しているが着実に解決に向けて取り組むことが重要だと強調した上で、「労組の仲間や荷主企業、ひいては広く社会に対し、われわれの思いが伝わる運動をしっかりやっていく」と表明。「組合活動を通じ、人を大切に、人が活き活きと働ける職場づくりを第一にしなければならない。時代の変化のスピードは速く、様々な挑戦が必要となるが、運輸労連のこれまでのよき伝統を継承しながら、松尾芭蕉の言う『不易流行』の精神で運動を展開する」と述べ「これからも汗をかき、知恵を出し、運動に取り組んでいく」と意欲を語った。

今大会には日本労働組合総連合会(連合)の芳野友子会長や立憲民主党の泉健太代表、運輸労連政策推進議員懇談会会長の海江田万里衆議院副議長ら多数の来賓が出席した。連合の芳野会長は「トラック運送をとりまく具体的な課題解決に向けて積極的な社会対話を行っていく」と表明。海江田氏は「運輸労連と議員懇談会が連携して貨物自動車運送事業法の改正に取り組み、6月14日に改正貨物自動車運送事業法が成立した。標準的な運賃制度と荷主対策の取組は『当分の間』延長することとが決まり、半永久的な枠組みができた。今後は枠組みの中身を充実させていくことが必要だ」と述べた。
(2023年7月11日号)


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