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「労働環境改善へ新たな一歩を」=運輸労連

2022.10.18

全日本運輸産業労働組合連合会(運輸労連、難波淳介中央執行委員長)は13日、第52回運輸問題研究集会(運研集)をオンライン方式で開催した。午前中は全日本トラック協会理事長の桝野龍二氏がトラック運輸産業を取り巻く課題と対応について講演し、運輸労連中央副執行委員長の世永正伸氏が、先月まとまった改善基準告示の改正点と今後の対応について説明した。午後からは労働政策・組織と産業政策の2つのテーマで分科会を開き、情報共有と意見交換を行った。

「100万人請願署名」が大きな契機に

開会挨拶に立った難波委員長(写真)は、労働条件改善に向けた運輸労連の取り組みについて言及した上で「9月に改善基準告示が1997年の週40時間労働制の完全実施対応として改正して以来、25年ぶりに大改正することが決定した。2024年4月から拘束時間は年間216時間縮減し、原則年間3300時間・月間284時間となる。労働基準法の時間外労働時間の上限規制960時間(休日出勤は除く)とのダブルで規制が始まる。長時間労働を解消し、労働環境の改善に向けて新たな一歩を踏み出す」と改正の意義を説明した。

難波氏は改正への経緯で契機となったのは「17年の運輸労連大会で『自動車運転者に改正労基法の時間外上限規制の一般則(720時間)適用を求める決議』を採択して取り組んだ100万人請願署名だ」と指摘。「交通運輸産業の仲間から55万筆、トラックを利用する産業で働く仲間からも130万筆が寄せられ、185万筆の署名が集まった。この動きを踏まえ、連合は働き方改革への対応方針にドライバーの労働時間上限規制の一般則適用も付け加え、総体としての取り組みを強めた」と署名運動の成果に言及した。その上で「18年6月に参議院で可決・成立した働き方改革関連法では一般則適用は実現しなかったものの、付帯決議に現行の改善基準告示の総拘束時間の早期の見直しを求める内容が加わったことが今回の改善基準告示の改正につながった」とした。

標準的な運賃〝延長・恒久化〟へ労使協働を

難波氏は改正貨物自動車運送事業法に基づく標準的な運賃について「個社が運賃交渉を行うための参考値であり、標準的な運賃を届け出る行為は、目指すべき運賃・料金水準に向けた事業者の主張だ。コロナ禍で荷主との交渉ができないとしても、自社の届出はすべきと要請を重ねていく」と述べた。加えて「届出は全事業者の5割弱(8月末現在)にとどまっているが、24年3月末までの時限措置であることから、延長なのか恒久化なのか態度を明確にした上で、労使相協働して行動を起こしていかなければならない」と事業者に向けて連携を呼び掛けた。

講演では全ト協理事長の桝野氏が、ドライバー不足への対応策で基本となるのは「現場が働きやすくなる」労働環境の整備と賃金の引き上げだと強調。そのために必要な取引環境の改善に向けて、事業者と荷主がパートナーシップを持って安定的な輸送を実現することが重要になると強調した。運輸労連中央執行副委員長の世永氏は改善基準告示の見直しポイントを解説。過労死防止や脳・心臓疾患による労災対策とともに若年層の入職しやすい環境整備を促進するため、新たな改善基準告示を遵守する必要性を指摘した。
(2022年10月18日号)


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