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JR貨物、3月のコンテナは4.9%減

2022.04.19

JR貨物(本社・東京都渋谷区、真貝康一社長)の3月の輸送実績は、コンテナが前年同月比4・9%減の175万8000t、車扱が1・3%増の74万8000tとなり、合計では3・1%減の250万5000tとなった。13日に本社で会見した真貝社長は、燃油をはじめとする各種費用や調達コストが上昇していることによる運賃値上げの可能性について、「いまは調達の見直しなどによって、いかに営業費用を抑えるかに注力していく」と述べ、鉄道運賃の引き上げは検討していないとした。

3月のコンテナの品目別実績では、コロナ禍による需要低迷が続いていることに加え、福島県沖地震の影響もあり、積合せ貨物と紙・パルプを除く全品目で前年を下回った。自動車部品は半導体不足と東南アジアからの部品調達困難によって各社が生産調整を行ったことから減送。農産品・青果物も北海道の作柄不良により、玉葱を中心に低調だった。

一方、積合せ貨物は昨年10月からのブロックトレインの運転開始もあり4・9%増と好調だったほか、紙・パルプは前年の反動増でプラスとなった。
車扱は、灯油を中心に石油が増送となったことから、全体でもプラスとなった。

21年度、積合せ貨物は300万t超え

2021年度トータルでの輸送実績(速報ベース)は、コンテナが前年度比1・8%減の1848万5000t、車扱が0・2%増の817万1000tとなり、合計では1・2%減の2665万6000tとなった。

コンテナは年度を通じてコロナ禍の影響が続いたことに加え、8月の大雨による山陽線の不通、冬場の雪害などの自然災害もあり、前年度を下回った。農産品・青果物は北海道地区の作柄不良に伴い玉葱、馬鈴薯が大幅な減送となったほか、自動車部品は半導体不足に伴う生産調整が続いた。食料工業品は、飲料を中心に現地生産化の影響を受け低調に推移した。

一方、化学工業品、化学薬品、紙・パルプ、積合せ貨物の4品目は前年度を上回った。なかでも積合せ貨物は、ブロックトレインの新設などもあり、6・2%増の305万3000tと好調だった。

真貝社長は、21年度の輸送実績について、「コロナ前の19年度との補正値ベースでの比較では、コンテナが90・1%、車扱が92・9%、合計で90・9%となり、9%減となった」と振り返った。また、4月に入ってからの輸送状況について「コンテナ、車扱とも前年比8割台という厳しい状況が続いている。福島県沖地震の影響で、紙・パルプが出荷減になっているのに加え、自動車部品も半導体不足が続いている。また、九州産の農産物の生育遅れの影響が出ている」と述べた。

費用増加、「まずは削減に注力する」

各種費用や調達コストが増加傾向にあることを受けて、鉄道運賃の値上げの可能性について真貝社長は「費用項目によっては、これまでと違う水準になってきていることは事実。その中で我々がまずすべきことは費用の見直しであり、調達先とも交渉していく」と述べ、現時点では貨物鉄道運賃の値上げは考えおらず、当面は費用削減に注力する考えを示した。
(2022年4月19日号)


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