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「物流業界としてCN取り組み加速を」=物流連/池田会長会見

2021.12.02

日本物流団体連合会(物流連)の池田潤一郎会長は11月25日、第8回モーダルシフト取り組み優良事業者表彰の表彰式終了後にオンラインで会見した。カーボンニュートラルの取り組みについて、「大変チャレンジングな目標であり、現状のやり方の積み上げでは到底達成できない。日本船主協会では先日、2050年カーボンニュートラルを海運業界として宣言したが、受け身ではなく、プロアクティブに取り組みを進めていきたいと考えている」と述べた。さらに「物流の各分野でも取り組みを加速していくと思うが、例えばトラックのEV化といった取り組みに加えて、輸送の効率化が重要になる。そのためには物流の標準化が重要であり、標準化はカーボンニュートラルの実現にもいい影響を与える」と指摘し、物流連として物流標準化の取り組みを加速させていく考えを示した。

池田会長は冒頭、「物流を取り巻く環境には、引き続きコロナの問題があり、グローバルサプライチェーンの混乱も解消を見ていない。だが、それ故に社会インフラである物流の重要性が再認識されており、引き続き物流が経済を支えるという思いで取り組んでいきたい」と強調。

世界的にコンテナ不足が続く状況については「特段の改善が見られないのが実状だが、ボリュームの伸びに一服感が出てきており、物理的なスペース不足は少しずつ解消されている。問題は米国西岸を中心に港湾荷役能力が追い付いていないことであり、そのためコンテナ船の滞船が続いている。ただ、港湾当局などが荷役の遅れに対する課徴金の徴収を延期しており、最悪の状況から少しずつ緩和してきているのではないか」との見解を示した。

カーボンニュートラルの実現に向けた物流連としての取り組みついては、「11月に脱炭素化に向けた情報交換会を立ち上げた。カーボンニュートラルに向けた国や産業界の動向を把握するとともに、陸運、海運、倉庫などが業態を超えてベストプラクティスを共有するなど情報を交換することを目的としている」と説明し、今年度中に計3回の会合を開く予定だとした。

2050年カーボンニュートラルという目標については「チャレンジングな目標だが、物流事業者にとってのお客様である荷主企業も率先して宣言している」として、物流業界として取り組みを加速していく必要があるとの認識を示した。その上で「例えば、トラックをEV化していくといった取り組みも大事だが、それに加えて輸送効率化が重要になる。同じ場所に向かって空のトラックが何台も走るようなことが続けば、どう考えてもカーボンニュートラルは実現できない。物流標準化というテーマも、ドライバー不足が直接的なトリガーではあるが、標準化を進めることはカーボンニュートラルにもいい影響を与える。脱炭素化を進めるためにも物流標準化の動きを加速化させていく必要がある」と述べた。

記者会見ではこのほか、長谷川伸一理事長が上半期の活動について報告。国土交通省が立ち上げた「官民物流標準化懇談会」と連動し、物流事業者側におけるパレット標準化の課題などを検討する物流標準化調査小委員会を設置したことなどを報告した。
(2021年12月2日号)


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