イケア/SGムービング、EVトラック17台導入で脱炭素加速へ
イケア・ジャパン(本社・千葉県船橋市、ペトラ・ファーレ社長)と同社の配送業務を担うSGムービング(本社・東京都江東区、角本高章社長)は6日、ラストワンマイル配送で新たに17台のEVトラックを導入すると発表した。10月から順次導入を進めており、今月中に全台導入を完了する予定。同日にイケア・ジャパン本社で開催した説明会に出席した社長兼チーフサステナビリティオフィサーのファーレ氏は「新車両の活用により、トラックでのラストワンマイル配送の25%をゼロエミッション化する」と語った。
今回導入する車両は、三菱ふそうトラック・バスの第3世代「eCanter」の2tクラス車で、航続距離は236㎞となる。充電時間は普通充電の場合、空の状態から満充電まで約11時間。イケア店舗があるエリアのSGムービングの拠点に配置する。両社は2020年にも「eCanter」を2台導入しており、今回の17台導入により保有数を計19台に引き上げ、ラストワンマイル配送におけるCO2排出量削減を加速する。
イケアでは30年までにすべてのバリューチェーンにおけるCO2排出量を16年比で50%削減する環境目標を掲げており、その一環として、25年までのトラックによるラストワンマイル配送の100%ゼロエミッション化を目指している。自社配送では、「IKEA港北」「IKEA新三郷」からの配送でEV軽自動車を7台、「IKEA港北」から渋谷などのシティショップへの拠点間配送で「eCanter」2台を運用している。
リユース家具回収など〝静脈物流〟でも環境経営促進
説明会で挨拶に立ったSGムービングの角本氏は「当社とイケアは08年の『IKEA神戸』のオープン以来、15年にわたる付き合いがあり、シティショップも含め多くの店舗の配送を手がけているほか、国内35拠点の商品受取センターを協働して展開している。今後も脱炭素経営を含め、継続した取り組みを進めていきたい」と述べた。
続いて、日本電動化研究所の和田憲一郎代表取締役の進行によるパネルディスカッションが行われた。ゼロエミッション化推進にあたり、今後期待することについて、ファーレ氏は「パートナー企業との連携だけでなく、国や政府から補助金やインフラ整備などの支援があれば、ゼロエミッション達成は容易となる」と強調。角本氏は「今回導入した17台は既存の2台より航続距離が伸びているなど、車両性能向上に向けたメーカーの努力を感じる。コスト面も含め、今後も導入しやすい車両の開発をお願いしたい」と期待を寄せた。
今後の課題や展開について、ファーレ氏は「日本ではゼロエミッションの重要性に対する認知度がまだ低いと感じる。認知度を向上することで、イケアの利用客からも当社の取り組みを支援していただけるようにしたい」と語った。角本氏はSGムービングが展開するリサイクル家電回収など〝静脈物流〟での事業に関して「EVトラックを利用して、イケアのリユース家具の回収も行っている。今後もイケアの利用客のニーズに対応しながら、再資源化につながる取り組みを進めていく」と述べた。
新店舗や受取センター開設で「24年問題」に対応
両社はドライバー不足が懸念される「2024年問題」への対応についても言及。イケアでは、フルフィルメント機能を備えた北関東初の店舗「IKEA前橋」(群馬県前橋市)を24年1月に開設する予定にある。これまで群馬や新潟、長野から注文を受けた商品は、フルフィルメント機能を持つ東京の店舗から配送していたが、前橋の新店舗からの配送に切り替えることで、ドライバーの運転距離短縮につなげる。また、角本氏は「商品受取センターの拠点数を増やし、利用客に商品を受け取りにきてもらうことで、運転時間の削減を進めていく」と述べた。
(2023年12月12日号)