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地方での貨客運送にテコ入れ=国交省

2020.10.15

国土交通省は6月に公布された改正地域公共交通活性化再生法を来月下旬に施行する。今回の改正法により地方の乗り合いバスおよび鉄道事業者はこれまで煩雑な手続きが必要だった貨客運送事業許可を取得しやすくなる。また、同法と同時に物流総合効率化法(物効法)の一部を改正。2021年度の財政融資を活用し、地方の自動車ターミナルをはじめ、共同輸送・中継輸送拠点、陸上・海上輸送を結ぶ物流拠点などの整備を支援する。

許認可手続きをワンストップで迅速化

地方での人口減少に伴い、バス・鉄道をはじめとする公共交通サービスの需要の縮小や経営の悪化、ドライバー不足の深刻化が進む中、移動手段を確保し、公共交通ネットワークの安定的維持を図るため、国交省では地域公共交通活性化再生法を改正した。

同法は、自治体が地域交通に関するマスタープランとなる「地域公共交通計画」を作成した上で、バス・鉄道・タクシーなど交通事業者や地域の関係者が協議を行い、地域の輸送資源をフル活用することで移動ニーズに対応した安定的で利便性の高い運送サービスを支援するもの。国は同計画を作成する自治体に対し、計画の作成経費を補助する。

物流関連では、バス・鉄道など旅客運送事業者が既存の交通網を活用し、より収益性を高められるよう貨客混載事業の促進を図る。具体的には旅客運送事業者が貨客混載を行う際、必要な許可申請手続きについて窓口をワンストップ化するとともに迅速化を図る。改正法に基づく補助金交付や税制特例措置は行わない。

国交省の担当者は、「今回の改正法は地域公共交通のネットワークを〝元気にする〟ことが主な目的だ。自治体のつくった地域公共交通計画に従い、旅客運送事業者が貨客混載による貨物運送を行いやすくなる」と説明。貨客混載への補助については、「許可手続き上はメリットがあるが、補助金の交付は行わない。法改正以前から実施されている貨客混載に対して不利益が生じないよう事業継続上での区別は設けない」とした。

地方での物流拠点整備に対する支援も

国交省は今回の法改正と併せ、トラック輸送に関連する地方部の物流施設の整備に対し、資金の貸し付けを行えるよう物効法の一部を改正した。地方での幹線と都市内輸送を結節する自動車ターミナルや、ダブル連結トラックに対応した共同輸送拠点の整備を支援。また、長距離輸送を効率化する中継輸送拠点や、陸上輸送と海上輸送などの結節機能を備えた物流拠点の整備も支援対象とした。21年度財政融資として現在要求中の5億円を活用し、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支援事業を行う。
(2020年10月15日号)


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