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物流大手が九州エリアで物流拠点を増強

2024.08.13

物流大手が九州エリアで物流拠点を増強している。九州エリアはTSMCの熊本進出を契機とした半導体産業の集積、アジアに近接した地理的優位性を見据えた製造業の進出、「2024年問題」対応としての物流網の再構築などを背景に、機能性に優れた物流拠点のニーズが急速に高まっているためだ。その立地も従来からの需要地である福岡、鳥栖、北九州エリアから、熊本や鹿児島まで広がりつつある。

半導体関連需要の取り込み狙う

NIPPON EXPRESSホールディングス傘下の日本通運は1日、佐賀県鳥栖市で九州エリア最大級となる「NX鳥栖ロジスティクスセンター」(写真)の稼働を開始した。延床面積11万㎡で、長崎自動車道鳥栖ICまで約3・6㎞と九州エリア全体をカバー。半導体関連企業の工場が集積するエリアへのアクセスが良好で、消費財のDC・TC拠点としてクロスドック機能を有し、短納期配送が求められるEC業務にも対応する。

日通は3月にも、梱包工場と九州エリア最大級となる天井クレーンを備えた「NX博多アイランドシティグローバルロジスティクスセンター」(1万755㎡)を新設。屋内における全天候型の作業が可能で、半導体製造装置や大型貨物、重量物などの特殊貨物の梱包・保管・出荷も行える。また、4月には半導体関連産業対応の「NX熊本ロジスティクスセンター」(8755㎡)を熊本県益城町で稼働開始している。
半導体業界向けのネットワークやサービス強化を図るDHLサプライチェーンは7月、熊本県大津町に「熊本ロジスティクスセンター」(約7097㎡)を開設。世界最大の半導体受託製造企業の工場からわずか1・4㎞の立地で、半導体製造装置メーカーなどの顧客に対する在庫管理および配送サービスを提供する。温湿度管理を徹底するための空調完備を完備し、24時間365日稼働であるほか、先進的な自動セキュリティシステムを導入した。

化粧品などターゲットに危険物倉庫も

ロジスティードのグループ会社のロジスティード九州は1日、福岡県小郡市で危険物倉庫を備えた「小郡物流センター」(約2万978㎡)を開設。自動化設備と独自制御システムを導入し、化粧品物流のプラットフォーム事業に強みを持つロジスティードコラボネクストとともに高効率な運営を目指す。太陽光パネルによる再生エネルギーの調達で一部の電力を賄うなど、環境にやさしい物流センター運営にも取り組む。

東海運は、福岡県朝倉市で「危険物MWS・朝倉サイト」を建設し、9月の竣工を予定している。危険物倉庫2棟(計2000㎡)、タンクコンテナ保管施設(危険物屋外貯蔵所)、空コンテナのインランドデポで構成。保税蔵置場とし、化粧品製造業、医薬部外品製造業(包装・表示・保管)の許可を取得し、九州最大の国際港である博多港を活用した危険物物流の需要を取り込む考えだ。

設備投資、「24年問題」で在庫需要に対応

住友倉庫は、住友倉庫九州が福岡市東区の箱崎埠頭営業所内に新倉庫を建設。九州エリアの生産拠点への設備投資の活発化、「2024年問題」を背景とした在庫の分散化需要等に応える。延床面積は1万2206㎡で25年1月の竣工を予定。博多港、JR貨物福岡貨物ターミナル駅に至近であり、かつ、九州自動車道や福岡空港へのアクセスに優れ、国内に限らず、海外との取引における多様な輸送ニーズに応える。
大和物流は、鹿児島県霧島市で25年4月末の竣工を目指し「鹿児島臨空物流センター(仮称)」(1万9074㎡)を建設。「2024年問題」で長距離輸送が困難になり、南九州エリアでの在庫二次配送拠点の需要が高まると判断。九州の主要高速道路である九州縦貫自動車道「溝辺鹿児島空港IC」から約950mで、九州南部の広域物流拠点として鹿児島・宮崎・熊本県への配送に適する。高床・低床の両方のバースを備える。
(2024年8月13日号)


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