メニュー

ランテック、27年までに冷蔵倉庫6拠点開設

2024.07.18

ランテック(本社・福岡市博多区、舛元健了社長)は2027年までに移転新設を含む冷蔵倉庫6拠点を開設する。これに伴う増床面積は計10万㎡に上る。新施設は小口混載定温輸送サービス「フレッシュ便」の中継拠点に保管機能を併設させた冷蔵倉庫が中心。直近では東日本での計画が続き、とくに首都圏では倉庫の移転新設に併せて保管貨物の再配置を行うことで、湾岸部の旺盛な倉庫需要の取り込みにもつなげる。また、マイナス25℃管理の冷凍自動倉庫やピッキングロボットなどの自動化機器も活用し、冷蔵倉庫で深刻化する人材不足にも対応する。

老朽化支店の移転・拡張が加速

今月、福岡県古賀市に開設する「古賀センター(仮称)」は敷地面積2万3260㎡、倉庫面積3万5843㎡の4温度帯(冷凍・冷凍・定温・常温)倉庫。霞ヶ関キャピタルの「LOGI FLAG DRY & COLD福岡古賀Ⅰ」(鉄骨造3階建て)の東側約3分の2を賃借して開設する。パレット収納枚数は1万8087枚。車両バースは1階22台、2階21台分で、各2基のドックレベラーを完備するほか、庫内には垂直搬送機2基、エレベータ2基を備える。

既存の「福岡定温センター」(福岡県久山町、延床面積約1・2万㎡)では同社唯一の菓子共配センターを運用していたが、老朽化・狭隘化を背景に新施設へと移転拡張し、冷凍・冷蔵庫を新たに備えることで、外食や乳製品などの共配ニーズ獲得も目指す。まずは冷蔵、冷凍温度帯から順次稼働する。

また、今年9月には、「湘南支店」(神奈川県伊勢原市)の敷地(2万8240㎡)内に建設中だった自動倉庫(収容能力約7158PL)が完成。1階にはプッシュバックラック(パレット流動棚)114棚を採用するとともにトラックバース17台分を備える。さらにパレット積み替え機の導入も検討。同敷地内にはフレッシュ便の中継拠点を兼ねる冷蔵冷凍倉庫(延床面積9638㎡、2階建て)が既に稼動しており、自動倉庫の増設で旺盛な保管需要に応える。

センコーと連携した施設開設も進展

東海地域でも既存支店が手狭となっており、来年4月には「浜松支店」(浜松市浜名区、延床面積7325㎡)を新設。センコーグループが開発する4階建て物流施設を賃借するもので、同施設内にはセンコーの「新東名浜松物流センター」も入居する。ランテックでは1階をフレッシュ便の中継拠点とした上で冷凍自動倉庫を導入し、総保管パレット数は5506PLとなる。同施設は東阪間のほぼ中央に位置し、浜松SAスマートICから約1㎞という好立地を生かして、センコーグループ初となるトラック中継輸送専用施設も併設。業界屈指の規模となる50台分の駐車場やドライバー専用のシャワー・休憩室、仮眠室を備え、グループ外の物流会社も利用できるオープンな施設として運用していく。

来年8月開所予定の「新・埼玉支店」(さいたま市緑区)も、センコーグループが開発した施設をセンコーと共同利用する。4万4504㎡の敷地に5階建ての大型物流拠点を建設するもので、北側半分にあたる2万7413㎡にランテックが入居。冷凍自動倉庫(1万704PL)を導入するとともに移動・固定型の平置きスペース(5296PL)を確保する。設備面では、垂直搬送機8基とエレベータ1基を備え、バースは1、2階に48基分を用意する。

同所は「埼玉支店」(埼玉県川口市)からの移転拡張で、1階をフレッシュ便の中継拠点とし、2階は保管荷主の出荷バース、3階を自動倉庫およびピッキングステーション、4~5階の上層階を保管庫として運用する。場所は東北自動車道・浦和ICの西側で、移転前の埼玉支店から北へ約10㎞の立地。浜松支店と新・埼玉支店には太陽光発電設備や大容量蓄電池・非常用発電機も導入して環境負荷低減とBCPに対応する。

千葉港で倉庫新設自社初の取り組みも

26年4月には「仙台支店」(宮城県富谷市)から移転拡張する「新・仙台支店(完成予想図)」(宮城県富谷市)の開設を予定。2万7630㎡の敷地に、延床面積約2万㎡の倉庫を建設する。パレット収容枚数は9985PLで、このうち冷凍自動倉庫が7294PL、冷凍庫が1407PL、冷蔵庫が654PL。接車バースは2面30台分となり、太陽光発電設備と大容量蓄電池・非常用発電機も完備する。場所は仙台北部道路・富谷ICから約3・5㎞に位置する。

移転前の仙台支店は延床面積1200㎡ほどの施設で保管機能をほぼ持たず、外部倉庫などを利用していた。新施設の開設で保管業務を内製化しながら新たな荷物の獲得を図る。また、仙台支店は北海道・東北地域向けのフレッシュ便の中継拠点でもあるが、施設の狭隘化により一部の便は関東などから直送されていた。新・仙台支店ではこうした輸送の中継も可能とし、ドライバーの長距離輸送を解消する。

さらに、27年4月には千葉市美浜区に「新・千葉支店」を新設。敷地面積1万5190㎡、延床面積1万9770㎡、パレット収容能力1万109PL(冷凍9887PL、冷蔵222PL)の新たな冷蔵冷凍倉庫拠点となる。冷凍自動倉庫(4392PL)を備え、接車バースは28台分、太陽光発電設備、大容量蓄電池・非常用発電機も設置する。千葉港に位置し、JR・千葉みなと駅から徒歩10分、京葉道路・貝塚ICからも約5㎞と至近。好立地を生かし、同所ではランテック初となる輸入貨物の流通加工サービスも展開したい考えで、保税蔵置場の許可取得なども検討する。同時に、倉庫内作業の自動化・省人化施策としてケース自動仕分け機の導入も予定する。

なお、自動化機器の導入としては、今月から門司支店(北九州市門司区)の冷蔵庫内でプラスオートメーションのロボットソーター「t-Sort」を稼働し、外食チェーン208店舗向けのピースピッキングを自動化する。

首都圏で在庫再配置関西でも投資計画

首都圏では「新・埼玉支店」と「新・千葉支店」の開設でエリア内の庫腹が拡大することから、保管貨物の再配置を実施。川崎港に立地する「京浜支店」の庫腹創出につなげ、湾岸地域で旺盛な保管需要の取り込みを図る。加えて、長期的には西日本地域でも再び投資を活発化。19年に移転拡張した「関西支店」の旧敷地の活用や、大阪府高槻市や京都府などのエリアにおける倉庫用地獲得も視野に入れる。九州でも、九州自動車道の中間点に位置する福岡県小郡・佐賀県鳥栖エリアでセンコーと連携した施設開発を計画していく。
(2024年7月18日号)


関連記事一覧