長瀬産業、大阪でオフラインコミュニティ開催
化学系専門商社の長瀬産業(本社・東京都千代田区、上島宏之社長)は7月29日、「第2回化学品共同物流オフラインコミュニティ」を大阪本社で開催し、およそ120人が参加した。このイベントは、同社のコミュニティサービス「化学品AI共同物流マッチングサービス」を通じて、化学品物流における「2024年問題」の解決に向けた機会創出を目的としており、当日は行政や物流事業者、荷主企業による講演や、参加者同士で情報を共有するフリーディスカッションが行われた。
開会に先立ち、長瀬産業の機能化学品事業部・樋口増生事業部長が挨拶し「『2024年問題』がはじまり、危機感を覚えている企業も多いと思う。イベントを通じて課題解決のヒントとなれば幸いだ」と述べた。
最初のプログラムでは、国土交通省物流政策課の林田雄介課長補佐が、最新物流動向と今後の物流改善における中長期計画を解説した。林田氏は「トラックドライバーの平均年齢は高齢化しており、若い世代に物流業界に来てもらうための環境づくりが必要だ」と強調。質疑では建設関連企業から、「『2024年問題』により労働時間が短縮されたことで『稼げなくなった』という声があがっているが、物流業界はどのような状況か」と質問が上がり、林田氏は「物流業界も長時間労働で稼ぐ体質があったが、若い世代を呼び込むためにも、今後は、賃金水準をあげることで対処することが理想だ」との認識を示した。
続いて、センコーの輸配送事業推進部・殿村英彦常務理事が講演した。殿村氏は「物流業界は〝競合〟から〝協業〟の時代に変わる」として、同社の長距離運行を解決する取り組みを紹介。中継基地を利用し1車1人2日運行を撤廃したことで、労働環境が改善され、事故が減少する効果も得られたと解説した。さらに1日に浜松市でプレオープンしたトラック中継輸送専用の大型施設「TSUNAGU STATION浜松」を紹介。トレーラや大型トラックの駐車スペース提供し、トレーラ交換またはドライバーの交替場所として利用できると説明し、「高速道路のPAはいつも混雑しており、ドライバーの負担が大きい。『TSUNAGU STATION』は順次全国拡大させていくので、中継輸送に活用してほしい」と呼びかけた。
また、自社の物流課題を改善に導いた事例発表を行った化学メーカーは、9月から「化学品AI共同物流マッチングサービス」を活用した共同物流をスタートすると説明し、「マッチングサービスは、すべての関係者にメリットのある仕組みだ。オフラインコミュニティはビジネスにつながる貴重な場であり、このコミュニティを大きくしていきたい」と参加者に呼びかけた。
長瀬産業からは、機能化学品事業部の北越開陽氏が「化学品AI共同物流マッチングサービス」の推進状況を説明した。現在57社がサービスを活用し、すでに2ルートで実績があることや、9月より新たに2ルートで共同物流を開始すると紹介した。
プログラムの最後には、参加者を複数のグループに分けてフリーディスカッションが行われ、各社の物流課題や、取り組みに対する活発な意見交換が行われた。
(2024年8月6日号)