〝地の利〟活かし中継輸送事業を拡大へ=遠州トラック
遠州トラック(本社・静岡県袋 井市、金原秀樹社長)は今期、中継輸送事業の拡大に注力していく。東京と大阪のほぼ中間地点に事業拠点を構える〝地の利〟を活かし、自社拠点で貨物を積み替えることによる共同輸送を荷主や物流事業者に提案していく。17日に開催された2024年3月期決算の説明会で、金原社長は「すでにいくつかの新規案件をいただいている」と述べ、「2024年問題」を契機に新たな輸送ニーズを取り込んでいく考えを強調した。
同社は18年9月からNEXCO中日本と共同で中継物流拠点「コネクトエリア浜松」(写真)を運営しており、23年度の利用台数が前年度比123%に増えるなど、月間平均で約1300便が中継拠点として活用している。同社は今後、中継輸送へのニーズがさらに髙まると判断し、コネクトエリア浜松での事業とは別に静岡県内の自社拠点を活用した中継輸送サービスを拡大していく。「コネクトエリア浜松では、運送事業者の積み替えやトレーラヘッドを交換する場所を提供している。今後は、例えば関東から関西向けに荷物があれば、静岡県にある当社拠点で荷物を積み替えして、当社の荷物を積んで関東に戻ってもらい、当社のトラックが関西向けに運ぶといった中継による共同輸送を拡大していく。求貨求車を含めた荷物のやりとりも増やしていきたい」(同)と述べた。
また、外資系大手EC向けの宅配や幹線輸送も「まだまだ伸びる余地が大きい」(同)としてさらなる拡大を見込む。前期は東京、神奈川、埼玉、岐阜、三重、千葉などに計7ヵ所に宅配拠点を開設し、総拠点数は26拠点に拡大した。今期はさらに5拠点の新規開設を見込む。
24年3月期は、増収もコスト増で減益に
同社の24年3月期連結業績は、売上高が469億4000万円(前期比4・7%増)、営業利益が26億1500万円(17・7%減)、経常利益が26億7800万円(17・4%減)、当期純利益20億4500万円(10・4%減)の増収減益となった。
売上高はEC物流事業が順調に拡大したことに加え、輸送機器メーカー向けの調達物流業務などを担う「袋井ロジスティクスセットセンター(LSC)」が開設したことで、2期連続で過去最高値を更新。一方、営業利益は外注費、人件費の高騰や燃料費の高止まり、物流施設の取得に伴う一時経費の発生などで減益となった。物流事業における売上高の内訳は輸送部門が347億5600万円(3・1%増)、倉庫部門が119億5300万円(8・9%増)。
25年3月期の連結業績は、売上高500億円(前期比6・5%増)、営業利益31億円(18・5%増)、経常利益31億円(15・7%増)、当期純利益21億円(2・6%増)の増収増益を見込む。EC宅配業務でさらなる増収を図るほか、中継輸送事業の拡大や価格転嫁による適正運賃収受が進むと予想。金原社長は「現時点では、当社が要望する運賃水準には届いていないが、今後は改善が進む」との見通しを語った。
(2024年5月23日号)