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サプライチェーン異業種でトラックシェア進む

2024.04.23

サプライチェーンの異業種間でトラックのシェアリングが広がっている。トラックドライバーの時間外労働時間の規制が厳格化される「2024年問題」を機に、ドライバーの労働時間を短縮しつつ、トラックの稼働率を上げる効率化への要請が高まっているためだ。メーカー、卸、小売りそれぞれが持つトラックのキャパシティーを、業態の垣根を超えて有効活用する動きが加速してきた。

非稼働時間帯のトラックを相互に有効活用

ファミリーマートとコカ・コーラ ボトラーズジャパンは2月上旬から、神奈川県海老名市・厚木市を中心としたエリアで、コカ・コーラ ボトラーズジャパンの店舗配送トラックが稼働していない時間帯を使って、ファミリーマート店舗への常温商品配送に使用することで、両社が同一車両を有効活用する取り組みを始めた。

ファミリーマートでは、通常の配送コースでは一度に配送できない商品量が不定期に発生する場合があり、その際、臨時便として別途車両を手配し、過剰分を配送。コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、最需要期の夏場以外は、日によって稼働率にバラつきが出たり、納品がない時間帯や稼働していない時間が発生することがあった。

こうした現状から、両社の配送車両の安定運行を図ることを目的に、両社で車両を共同活用する新たなスキームを構築。限られた車両を有効活用し、ドライバーの安定確保につなげるとともに、新規に使用する配送車両の削減を図り、配送効率を下げることなく車両の安定稼働を目指す。今後、対応活用可能なエリアを検討し、順次拡大していく予定にある。

ワタミとローソンも商品配送トラックの「物流シェアリング」を今月6日から開始した。ローソン店舗への商品配送を行っているトラックの非稼働時間を活用して、ワタミが運営する「ワタミの宅食」の商品を埼玉県東松山市の製造工場から首都圏(東京都・埼玉県)の営業所約20ヵ所に配送する。

「ワタミの宅食」では土日祝日に配送数が大きく減少し、積載、配送網の効率化が課題となっていた。一方、ローソンでは昨年12月から順次、チルド・定温商品の配送回数を1日3回から2回へと切り替えを進めており、一部の配送車に非稼働時間が生まれることから、当該時間帯での有効活用を検討し、協業先を検討していた。

今回、両社で配送する商品の温度帯やシェアリング可能な時間帯が合致し、両社の物流拠点が近かったことなどから、双方の課題解決および持続可能な配送網を構築できると判断し、協業に至った。両社の「物流シェアリング」は今回が初めてとなり、今後、24年度中をメドに順次エリアへの拡大を目指す。

積載率向上へトラックの空きスペースを提供

トラックシェアリングを不特定多数の相手先に広げる取り組みも始まっている。三菱食品は昨年9月、「2024年問題」への対応を見据え、同社を中核としたトラック輸送ネットワークの空きスペースをシェアリングする物流サービス「trucXing(トラクシング)」をローンチしたことを明らかにした。

三菱食品は1日あたり約7600台のトラックを使用して納品業務を行っているが、荷物の小口化や多頻度納品等の進展により、実際に一部で空きスペースが生じており、積載率の向上が課題となっていた。卸がこの空きスペースをトラックの調達に課題を抱える川上のメーカーに提供するというもので、関東圏でスモールスタートした。

なお、三菱食品は川下である物流会社とも協業する。昨年8月、キユーソー流通システムと両社の主に食品を対象とした物流事業の一部を統合して、合弁会社に会社分割により承継させることを発表。卸と物流会社が従来の受委託の関係性を飛び越え、パートナーとして、首都圏エリアの低温物流の分野で提携、協力して物流事業を共同推進するとしている。
(2024年4月23日号)


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