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防振輸送で鉄道シフトを支援=近鉄エクスプレス販売

2024.03.28

近鉄エクスプレス(KWE)のグループ傘下で国内外航空および海上輸送・3PL・税関事務管理人・輸出者代行・購買代行などの提案・販売を手がける近鉄エクスプレス販売(KSI、本社・東京都港区、白井由浩社長)では、鉄道輸送用の新たな防振輸送サービス「ZERO G-Cargo(ゼロジーカーゴ)」を展開している。輸送力不足が懸念される「2024年問題」が間近に迫り、鉄道輸送の重要性がますます高まる中で、サービスを通じてモーダルシフトの壁となっている〝振動〟に弱い製品を取り扱う荷主の鉄道シフトをサポート。サービス提供と併せて、荷主の要望に応じたサービスの品質向上を目指し、さらなるトライアルを重ねている。

JOTの断熱12ftコンテナ活用、梱包資材との併用も

「ZERO G-Cargo」は、日本石油輸送(JOT)が提供する鉄道輸送用の断熱性能付きUR12ftコンテナの床面に、武蔵貿易通関が製造した防振資材の特殊フロア「ZERO G-Floor(ゼロジーフロア)」を設置し、KSIがJR貨物のネットワークを利用して提案する防振輸送サービスだ。輸送する貨物は精密機器や医療機器、設備機器など振動による影響を受けやすい品目を想定している。

この特殊コンテナは、サイズが幅3580×奥行2250×高さ2144㎜で、断熱性能によって夏場における鉄道輸送では60℃近く上がるコンテナ内部の温度を約40℃まで抑制・維持できるため、温度による影響を受けやすい貨物にも対応できる。

「ZERO G-Floor」は、天板の下に特殊なウレタン製の緩衝材を設置しており、適正重量に応じてAタイプからEタイプまで5種類の緩衝材を使用・交換することにより防振性能を発揮する。可動式のアイボルトは、製品の形状に合わせてラッシングが可能。さらに、積載貨物に応じて、根止め・固定するオプションパーツ「Slide Lock」により、製品を固定するための金具を自在に可動でき、荷物のサイズや形状に合わせてアジャスターやL字金具で固定できる。ラッシングベルトの固定位置も自由に可動できるため、貨物に応じて適正な位置で固定できる。

荷主協力のもと輸送実証、振動を平均5割まで抑制

サービス開発が検討されたのは2021年の4月頃。サプライチェーンロジスティクス営業部の織田誠担当次長は「当社ではかねてより『2024年問題』対策として顧客に対して鉄道輸送サービスの利用を提案していたが、精密機器や医療機器などを取り扱う荷主から、振動による製品の影響を懸念する声が相次いでいた」という。これまで振動に弱い製品はエアサスペンションを装備したトラックによる輸送で対応していた。顧客の鉄道シフト支援にあたり、KSIはJOT、武蔵貿易通関と共同でプロジェクトチームを立上げ、「ZERO G-Floor」を利用した防振輸送サービス専用のコンテナ開発に着手した。

23年7月には荷主の協力を得たうえで、横浜本牧駅から東京貨物ターミナル駅までトライアル輸送を実施。防振対策を施したコンテナと通常のコンテナにそれぞれ荷物と振動計測器を積載した。実証では、通常コンテナで最大9・8Gだった振動を1・6Gまで軽減。平均1・46Gだった振動は0・72Gまで抑制され、平均減衰率約5割と高い防振性能が確認された。さらに荷主からの意見や要望を取り込み、同年9月から本格的なサービス提供を開始した。

防振コンテナの設計には顧客の抱える様々な課題もあり、トレード&ロジスティクス営業本部営業企画推進室の更科智子係長は「開発時には、荷物の種類に応じて防振の工程をカスタマイズする必要があることから、防振設定の基準を考える際、汎用性を持たせることに苦慮した」と振り返る。現在も荷物の種類によってどのような設定の防振対策を施すか、荷主とともに検証を進めるとともに、ニーズを探っている段階にある。

また、KSIでは今回のサービス提供に併せて、防振パレットなどの資材販売やリースも開始。これらのソリューションも「Slide Lock」と同様に、荷物の特徴に合わせて「ZERO G-Cargo」と組み合わせることで、ニーズに応じた鉄道輸送が可能になる。各資材は繰り返し使用できるので、環境負荷低減や廃棄コスト削減にもメリットを持つ。

サービスを利用する荷主からの反応は上々だという。また、毎月数件の引き合いが生じており、現在は工作機械、肥料なども対象にするべくトライアル輸送を実施している段階にある。直近では、新座貨物ターミナル駅から秋田貨物駅までのトライアル輸送を行い、荷物の固定方法などの検討を進めている。

今後は温度調節可能な梱包材との連携も視野に

サービス料金は、KSIのサービスのひとつである鉄道輸送サービスの料金に防振コンテナの使用料を含めた金額がベースとなる。オプション利用時にはその料金も追加される。サービス開始から半年ほど経ち、顧客のニーズに応じたカスタマイズが必要であることがわかったことから、今後も顧客に寄り添った提案を行いながら、サービスの回転率に応じて防振コンテナの増加や顧客が利用しやすい料金改定も検討していく。現在は荷主に応じた防振実証を行うためのトライアル輸送を多く手がけるが、トライアル輸送を行った荷主の意見を適宜組み込むことで、定期輸送へとつなげていきたい考え。定期輸送にあたっては、荷主専用の防振コンテナを開発することも可能だ。また、通運会社などからの要望で、防振コンテナのみでのリースサービスも開始している。

「ZERO G-Cargo」の今後の販売戦略として、サプライチェーンロジスティクス営業部営業第2チームの髙坂大氏は「生産回復が見込まれている半導体関連の輸送需要が増えていく一方で、『24年問題』などにより輸送力不足は今後も深刻になっていく。そうした課題を抱えた荷主を対象にサービスを提案していく」と語る。今後のサービスの構想として、防振輸送サービスと連携する温度調節可能な梱包材の販売も検討する。現在の利用目標は「複数の顧客による定期輸送で防振コンテナを安定稼働ができる状況を作りたい」(織田氏)としている。
(2024年3月28日号)


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