鈴与、荷主企業との物流女子会を開催
鈴与(本社・静岡市清水区、鈴木健一郎社長)は19日、「物流女子会」と「未来の物流を考える会」を開催し、食品や日用品、化学品、工業製品などの業界から荷主企業の物流担当者が参加した。当日は参加企業が物流改善に向けた各々の取り組みを発表するとともに、活発な意見交換を行った。開会に先立ち鈴与カーゴネットの松山典正社長は「会合を通じて企業同士が情報交換する中で、実際に共同配送が行われるといった効果が出ている。参加企業はこの会を有意義に使っていただきたい」と挨拶した。
「物流女子会」は、鈴与と荷主物流部門の女性社員が交流し、連携を強めることで物流改善につなげることなどを目的に発足。11回目の開催となる今回は「リードタイムN+2日への移行」と題し、鈴与含む4社の女性社員が各社のリードタイム延長への取り組みとその効果、課題について発表した。
このうち、鈴与と鈴与カーゴネットでは配車担当者の業務改善に密着したレポートを発表。鈴与カーゴネットの静岡支店静岡営業所では、取引先にあわせ、受注締切を積込日当日の11時に設定していたことから、追加の貨物情報に対応するため車両手配や協力会社への指示などの業務が後ろ倒しとなり、事務員の時間外労働が発生。また、安全・品質の低下や車両の安定供給が難しくなるなどの問題が生じていた。車両不足が懸念される「2024年問題」への対応の一環で、取引先の受注締切が積込日の前日13時へと変更されたことから、同社内でも業務フローを再構築。積込日当日の午後に行っていた業務を前倒しできたことで、時間外労働を削減するとともに、余裕を持って配車計画を策定できるようになり、輸送品質の向上と車両の安定供給を実現した。
このほか、キリングループロジスティクスとテルモ、森永製菓がそれぞれの取り組みを発表した。各社の取り組みについて、参加企業の役員が総括として「あらためてリードタイム延長に対する各社の熱意を感じた。物流課題は荷主の思いだけでは解決できず、荷主同士や物流事業者、関係省庁が連携し、日本全体で取り組んでいくことが重要だ」と結んだ。
給与引き上げでドライバー応募が倍増
「物流女子会」に続いて行われた「未来の物流を考える会」では、特別講演に国土交通省物流・自動車局貨物流通事業課長の小熊弘明氏が登壇。「2024年問題」の詳細や政府による「物流革新に向けた政策パッケージ」の概要、物流政策の最新動向などについて解説した。
続いて、鈴与カーゴネットの川口博相談役が「2024年への準備」と題し、鈴与カーゴネットが「2024年問題」への対応として取り組んでいる輸送力確保の施策などについて説明した。全国のトラック登録台数が減少傾向にある中で、同社は直近3年で150台以上を増車。また、東北~関西までの各区間において年間約3万8000台を中継輸送で運行したほか、今後は現在15拠点を設ける中継拠点の増設・整備を計画するなど中継輸送を推進している。さらに、トラックドライバーの給与水準を2年連続で引き上げた結果、年間の応募者数が倍増したという。このほか、海上輸送シフトの進捗について、海上輸送の件数が10年間で約230%増加したとの実績を報告した。
その後、ユニリーバ・ジャパンが昨年の「サプライチェーンイノベーション大賞」を受賞した「メニュープライシング」の取り組みについて講演したほか、ティアフォーは同社が手がける自動運転技術開発の最新動向について説明した。
(2024年1月25日号)