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西濃運輸が九州向け幹線輸送を効率化、鉄道利用も

2023.08.31

西濃運輸(本社・岐阜県大垣市、小寺康久社長)は、九州向けの幹線輸送に特化した「北大阪ハブ店」(大阪府茨木市)を10月に開設する。集配業務を行わない継送に特化した専門店は同社初となる。関西以東から幹線輸送されてきた荷物を同拠点で積み替え、JRコンテナなどを使って九州まで輸送。積載率の向上による運行効率化を実現するほか、「2024年問題」への対応やCO2排出削減につなげる。同業他社の荷物も積極的に受け入れることで、同社が掲げる「O・P・P(オープン・パブリック・プラットフォーム)」を推進していく。

10日に開催されたセイノーホールディングスの2024年3月期第1四半期決算の説明会で明らかにした。

西濃運輸の既存店である北大阪支店を「北大阪ハブ店」に名称変更し、通常の集配業務を行わない継送専門店に形態を変更する。西濃運輸での各店所でも夜間にホームの一部を使って継送業務を行っているが、積み替えや継送に特化した拠点は今回が初めてとなる。

関東地区をはじめとする関西以東から運ばれてきた九州向けの幹線便を同ハブ店に集約し、積み替えなどによって積載効率を高める。また、JRコンテナへの積み替えによる鉄道輸送を行うことで、ドライバーの長距離輸送削減による「2024年問題」への対応を加速するほか、CO2排出量の削減も図る。

説明会で西濃運輸の小寺社長(セイノーHD輸送事業担当取締役)は「31ft、20ft、12ftという3種類の鉄道コンテナを使い分けることで、細かい物量調整が可能になる。また、トラック車両単位での増減車よりも調整が容易になる」とメリットを強調。「ハブ店での積み替えが必要になるものの、そこで九州の各仕向地単位に荷物をまとめるため、着側での作業が大幅に効率化できる」と述べた。

さらに、西濃運輸では、今回の輸送の仕組みをグループ内での効率化策にとどまらず、同業の特積み事業者や一般トラック事業者にも開放するO・P・Pの取り組みも進める。具体的には、同業他社が北大阪ハブ店に荷物を持ち込んで、九州までの輸送を共同化するパターンと、近隣の西濃運輸の店所に持ち込み、そこからハブ店までの幹線運行も含めて共同化するパターンを展開していく予定で、「すでに同業各社への案内も開始した」(小寺社長)という。北大阪ハブ店が所在するのは、多くの特積み事業者が入居する北大阪トラックターミナル内でもあるため、各社との連携が容易になるメリットもある。
(2023年8月31日号)


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