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セイノーHD、ロジ・貸切事業拡大で利益率改善へ

2023.06.20

セイノーホールディングス(本社・岐阜県大垣市、田口義隆社長)は13日に開催した「IR DAY 2023」の説明会の中で、中長期の経営の方向性を示す「ありたい姿とロードマップ2028」を公表した。今後の物流業界では、環境対策と人手不足が顧客のペイン(困りごと)になるとの前提に立ち、その解決策として「Green物流」の実現に向けたプラットフォームの構築を加速する。事業戦略では、利益率の高いロジスティクス事業と貸切輸送事業の比率を高めていくことで、3~5年内にROE8・0%を達成し、PBR(株価純資産倍率)1倍超の早期実現を目指す。

説明会では冒頭、田口社長(写真)が「これまでの中期計画が規模やP/L中心となっていたことの反省を踏まえ、企業価値向上の道筋を描いた中期ロードマップに変更した」と表明し、キャッシュフローや資本効率などをより重視していく姿勢を打ち出した。また今後は、ありたい姿からバックキャストして、到達すべき収益性や資本効率性の目標を公表していく形に変えていくとした。

ロードマップ2028では、「Team Green Logistics~共に創り、未来に貢献する~」を掲げ、日本が直面している少子高齢化や環境問題などの課題に対し、オープン・パブリック・プラットフォーム(O・P・P)などによる「Green物流」を進めることで解決していく考えを示した。具体的には、デジタルプラットフォームによるマッチングやシェアリングを通じて「空気を運ばず、空気をきれいにする」世界観の実現を目指していく。

資本効率改善では、前期末で4・3%だったROEを3~5年内に8・0%まで改善することを目標に掲げ、それにより早期のPBR1倍超を実現していく。利益率改善に向けた取り組みでは現在、売上高の2割程度のとどまっているロジスティクス事業と貸切輸送事業の比率を、3~5年以内に約35%まで引き上げる。ロジ事業の利益率は12%、貸切事業は15%程度を想定している。

ロジ事業では、約600億円程度の売上高を2倍の1200億円まで拡充。倉庫所管面積は現在の約102万㎡を5年後に1・85倍の約189万㎡まで増強する。倉庫スペースは自社倉庫にこだわらず外部倉庫の活用に力点を置く。また、産業別ソリューションを強化し、今年4月からセイノーHD本社内に「オートモーティブ・バッテリー」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」の3分野に特化した事業部を新設した。

貸切事業では、現在約250億円の売上高を5年後に倍増の500億円まで引き上げる。同事業での成長ドライバーは、昨年にセイノーグループ入りしたマッチングプラットフォーム「ハコベル」で、説明会でハコベルの狭間健志社長は「特積み事業で高いシェアと営業ネットワークを持つセイノーグループに、貸切輸送という新たなソリューションを加えることでクロスセル効果が見込める」と述べ、すでに10億円規模のシナジーが発現していると述べた。
(2023年6月20日号)


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