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運輸労連、「全国単組労使懇談会」を初開催

2023.04.20

全日本運輸産業労働組合連合会(運輸労連、難波淳介中央執行委員長)は14日、第1回「全国単組労使懇談会」を都内のホテルで開催した。物流の「2024年問題」に対応し、労組・企業が課題を共有し、意見交換を通じて有効な解決策につなげることを目的としたもので、今回が初開催。全国単組11組合の代表者と11社の経営トップが参加した。

11全国単組の出席者は次の通り。全日通労組・成田幸隆中央執行委員長、ヤマト運輸労組・森下明利中央執行委員長、トナミ運輸労組・金作大輔中央執行委員長、TOLL JAPAN労組・豊田直樹中央執行委員長、名鉄運輸労組・重村敏彦中央執行委員長、丸全昭和運輸労組・轡田光一中央執行委員長、全新潟運輸労組・丸山敏明中央執行委員長、日立物流労組・松江知也中央執行委員長、日通トランスポート労組・正木治朗中央執行委員長、愛知陸運労組・榑林勉執行委員長、エスラインギフ労組・子安宗俊執行委員長。運輸労連中央本部からは難波委員長をはじめ小畑明中央副執行委員長、世永正伸中央副執行委員長ら幹部が参加した。

企業側からは、日本通運・近藤晃副社長ほか2人、ヤマト運輸・長尾裕社長ほか1人、トナミ運輸・髙田和夫社長ほか1人、JPロジスティクス(旧トールエクスプレスジャパン)・長谷川実社長ほか2人、名鉄運輸・吉川拓雄副社長ほか1人、丸全昭和運輸・岡田廣次社長ほか1人、新潟運輸・坂井操社長ほか2人、ロジスティード(旧日立物流)・瀬辺隆喜執行役員人事総務本部長、NXトランスポート・内海史夫社長ほか1人、愛知陸運・山崎義雄社長ほか1人、エスラインギフ・堀江繁幸社長ほか1人が参加した。

「トラック運輸産業の実態がいよいよ水面上に」

挨拶に立った難波委員長は「3月31日には岸田首相の肝いりで『我が国の物流の革新に関する閣僚会議』が発足し、6月までに政策パッケージをとりまとめることとなった。水面下にあったトラック運輸産業の実態がいよいよ水面上に上がってきている」と指摘。労組側出席者に向けて「好調な荷主企業に対しては、収益の分配先を自社に留めることなく、パートナーである物流部門への転嫁を求め、運賃料金改定交渉を行っていただきたい」と訴えた。また、業界の多層構造について「かつて19年1月の新年交換会では、『多層構造システムをチームに置き換えれば、チーム全体を最適化する対応が求められる』と述べたが(下請を含めた業界全体を念頭に置いた)個社の行動の積み重ねが業界全体の底上げ・引き上げにつながる」と強調。今回の懇談会を通じて「トラック運輸産業の抱える構造的な課題に対して経営トップの皆さんとの懇談により解決の糸口を探っていきたい」と期待感を表明した。

それを受け、日通の近藤副社長が企業側として挨拶。「運輸業界の働き方は『2024年問題』を機に大きな転換期を迎える」と指摘。「これまで以上に輸配送の共同化やモーダルシフトを推進するとともに、AI・IoTの先端技術を活用し、少ない労働力で輸送を行える仕組みを構築する。一方、この状況をチャンスとし、物流の重要性を顧客に認識してもらうことが重要だ」と述べ、輸送の安全確保とともに、労使共通の課題として取り組んでいく必要性を訴えた。

続いて「2024年問題」をテーマとした首藤若菜・立教大学教授の講演を聴いた後、業界課題と対策について労使間で意見交換を行った。
(2023年4月20日号)


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