物流連、池田会長「23年度は〝勝負の1年〟」
日本物流団体連合会(物流連、池田潤一郎会長)は3月29日に理事会を開催し、2023年度の事業計画を策定した。23年度は「2024年問題」が目前に迫っていることを踏まえ、国や関係団体などと連携して持続可能な物流に向けた広報活動に取り組む。理事会終了後に経験した池田会長は「23年度は物流業界にとって『勝負の1年』になる。限られた広報予算の中で効果を上げていくためにも、目的を同じくする物流関係団体や企業と連携した広報活動を行うべきだ」との考えを示した。
池田会長(写真左)は会見の冒頭、「『2024年問題』が1年後に迫っており、労働力不足への危機感が高まる中で、物流業界の生産性向上は待ったなしとなっている。言うまでもなく、物流は社会における重要なインフラであり、それをいかに持続可能なものにしていけるかが問われている。しかし、物流事業者だけでは課題解決できず、荷主や一般消費者と認識を共有しながら解決に進めないといけない」と述べ、課題を広く共有していく必要性を強調した。
その上で、具体的な広報のイメージについて「残念ながら一般消費者における物流の認知度はまだまだ低い。当たり前だと思っているサービスの裏側で、どれだけの手間とコストがかかっているかについての理解が足りてない。まずはそこをアピールしていく必要がある。一例だが、「送料無料」という言葉は物流業界の人間にとっては非常に残念な言い方だ。マーケティングの一環だとはいえ、我々の仕事がタダなのかという誤解を生んでしまう」との認識を示した上で、「残念ながら広報予算は限られている。その中で、目的が同じ団体や企業があれば、広報活動も連携してやるべきだと思う」と述べ、連携して広報活動に取り組む必要性を訴えた。
コロナで休眠していた活動の再開も
物流連は23年度も、基本政策委員会、人材育成・広報委員会、国際業務委員会、物流環境対策委員会、経営効率化委員会――の5つの委員会を中心に活動していく。
人材育成・広報関係では、大学生を対象にした「物流業界インターンシップ」と「物流業界研究セミナー」を引き続き東京・大阪で開催するほか、大学寄附講座も青山学院、法政、横浜国立の3大学で実施する。また、コロナによって休眠状態になっていた「「物流見学ネットワーク」についても、見学リストをあらためて更新し、小・中学校の社会科見学とのマッチングに取り組む。国際業務関係では、ベトナムの物流事情調査を行う。
環境対策では、物流環境大賞やモーダルシフト優良事業者公表・表彰、グリーン物流パートナーシップ会議などの活動を継続するほか、「物流分野における低炭素・脱炭素化推進に向けた情報交換会」ではシンポジウム開催を予定する。経営効率化ではダイバーシティの推進として、22年度の女性活躍推進に引き続き、23年度は高齢者の活躍推進をテーマに調査を進める。また、「2024年問題」の周知に向けた広報活動や「官民物流標準化懇談会」への参画も継続する。
(2023年4月4日号)