売上高物流コスト比率5・31%=JILS/22年度物流コスト
日本ロジスティクスシステム協会(JILS、大橋徹二会長)はこのほど、2022年度の物流コスト調査結果の速報値を発表した。それによると、22年度調査(実績は主に21年度)の荷主企業の売上高物流コスト比率(全業種平均)は、5・31%となった。過去20年で最も高い数値となった前年の5・70%から0・39pt減少したが、3年連続で5%台となった。物流事業者からの値上げ要請などを理由に、コスト比率は長期的な上昇傾向にある中、22年度の調査は上昇トレンドに対する揺り戻しとも見える結果となった。JILSでは「コロナ禍当初の特異なビジネス環境における状況と比較して、企業の売上高が回復し、その回復の勢いが物流コスト単価の増加を上回ったことに起因している」と分析している。
同調査は昨年7月から11月にかけてアンケートを実施し、195社から有効回答を得た。業種大分類別のコスト比率を見ると、製造業が5・34%(前年度比0・32pt減)、非製造業が5・25%(0・55pt減)。非製造業のうち、卸売業は5・75%(0・21pt増)と増加したが、小売業は4・07%(2・01pt減)、その他業種は5・40%(1・69pt減)と減少した。
なお、前年度との比較が可能な「2年連続回答企業」(150社)のコスト比率は5・69%(0・10pt減)となり、業種大分類別では全業種で減少。特にその他業種の下降幅が最も大きく、0・79pt減少して5・74%となった。
荷主の7割強「値上げ要請を受けた」
値上げ要請の有無については、回答企業164社のうち、125社(76・2%)が「要請を受けた」と回答し、前回調査時の66・9%から9・3pt増加した。値上げ要請をされた主なコスト(複数回答)では「輸送費」(106社)が最も多く、次いで「荷役費」(50社)、「包装費」(46社)、「保管費」(42社)、「物流管理費」(11社)となった。JILSは「21年度調査では値上げ要請に向けた動きはやや落ち着いた印象だったが、22年度調査では輸送費を中心に再度活発化している様子が伺える」としている。
また、値上げ要請の応否については、回答企業125社のうち、119社(95・2%)が「応じた」と回答。前回調査時の86・7%から8・5pt増加した。要請に応じたコストの種類(複数回答)では、「輸送費」が101社と最も多く、「荷役費」(47社)、「包装費」(42社)、「保管費」(41社)、「物流管理費」(9社)の順となった。
(2023年1月12日号)