SBSHD/フォロフライ、1tEV車を来年3月から本格導入
SBSホールディングス(本社・東京都新宿区、鎌田正彦社長)が全面導入を決めているフォロフライ社の1tEV車(写真)が、来年3月から同社へ本格導入される。13日にプロロジスがWeb配信した「Newラストワンマイルウェビナー」にて、フォロフライの中尾源COOが明らかにした。SBSHDではEC宅配事業で稼働する約2000台の車両を、今後5年内にEV車へ置き換える方針にあるとともに、中期的には協力会社の車両も含めた1万台規模のEV車導入も計画している。
フォロフライは製造を外部企業へ委託する「ファブレス生産」によってEV車を生産・販売する京大発のスタートアップ企業。昨年8月に法人化し、10月には国内で初めて、ファブレス生産による商用EVのナンバー交付を受けた。車両の製造は提携する中国系自動車メーカー・東風汽車が担うが、「フォロフライがメーカーとして車体の企画・販売から安全・品質管理まで行う」(中尾氏)という。
生産を中国へ移管することで、同国の補助金なども受けながら、製造コストを大幅に抑制。日本においては、各種助成金なども活用すれば1tEV1台を、ガソリン車とほぼ同等価格の約400万円で導入できることが大きな特長となっている。SBSHDも「1tEVは業界にまだなく、(自動車メーカーに)依頼すると“4ケタ万円”掛かるため、導入したいが普及が難しかった」(同)として、フォロフライ製の発注に至った。
同社ではミニバンとトラックの2車種をラインナップするが、いずれも1t車規格であり、「日系自動車メーカーには1tタイプのEVはなくマーケットの穴だった」(同)。主にSBSHDのようなラストワンマイル宅配業務が発生する運送会社や倉庫会社、スーパーマーケットなど30社ほどから引き合いがあるという。こうした業務では1日の運行距離が通常100~150㎞ほどになるため、フォロフライ製の1tEVの航続可能距離300㎞で十分対応可能となっている。
SBSHDでは、フォロフライの商用EVがナンバー交付を受けた昨年10月に、同社への出資と1tEV車の全面導入を発表。同月中に第1号車両が納車され、その後、グループで宅配事業を担うSBS即配サポートが約3ヵ月間にわたって計2500㎞の実証走行を実施した。同社の担当者によると「静かで乗り心地がよく、坂道を上るトルクの強さにはいい意味で驚かされた」と高評価。充電時間確保のための調整こそ生じるものの、日々の業務における大幅なオペレーションの変更は必要なく、来年3月の本格導入を控える状況にある。
フォロフライ製EVは現在、北海道1台、沖縄1台、東京2台、埼玉1台の計5台が走行中。上海におけるロックダウンの影響で納車が遅れたものの、年内にはSBSHD以外にも20~30台が納車予定にあるという。
(2022年10月20日号)