「持続可能な物流」検討会が初会合=国交/経産/農水
国土交通省、経済産業省、農林水産省は2日、3省連携で物流分野の課題解決策を検討する「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の初会合をオンライン方式で開催した。現在の物流が抱える課題の解決には発・着荷主の商慣習の見直しや、一般消費者の物流への意識改革が必要とする観点に立ち、省庁横断で具体的な施策を検討し、提言することが目的。
物流事業者を所管する国交省と、荷主企業を所管する経産省、農水省が施策レベルで連携し、実効性の高い対策に取り組む。今後は荷主団体からのヒアリングを実施しながら議論を進め、年内と来年1月に中間報告をまとめる。その後も引き続き議論を実施し、2023年度中に最終報告として具体的施策を提言する方針。
開会に際し挨拶に立った国交省の鶴田浩久公共交通・物流政策審議官は「昨年6月に政府は総合物流施策大綱を策定し、国の物流政策の指針を定めたが、それに基づき、さらに取り組みを進めるために本検討会を立ち上げた」と述べ、社会インフラとして「物流は様々な価値を提供しているが、価値が運賃・料金など価格にしっかりと反映される社会を目指したい。物流事業者のみならず荷主や一般消費者とともに価値を共有し、持続可能な物流の実現を図っていく」と表明。同検討会の方向性を示した。そのほか、経産省の茂木正商務・サービス審議官、国交省の堀内丈太郎自動車局長、農水省の高橋孝雄総括審議官(新事業・食品産業)らが挨拶した。
今後の検討課題として2024年度からのトラックの労働時間規制によって生じる物流課題(「2024年問題」)への対応や、着荷主や一般消費者の物流への意識改革に議論の焦点を当てる。また、トラックの運賃・料金の適正収受を促進し、非効率な商慣習や業界構造の是正を図る方策を探る。加えて、省庁連携で物流分野の標準化・効率化の推進を図る施策を検討する。
検討会委員には学識経験者が選ばれた。NX総合研究所取締役の大島弘明氏、ローランド・ベルガーパートナーの小野塚征志氏、アクセンチュア製造・流通本部マネジング・ディレクターの北川寛樹氏、日本消費者協会理事の河野康子氏、立教大学教授の首藤若菜氏、同大教授の高岡美佳氏、敬愛大学教授の根本敏則氏、東京女子大学教授の二村真理子氏、日本ロジスティクスシステム協会理事の北條英氏、流通経済大学教授の矢野裕児氏らが参加し、物流関連の研究者やコンサルタント、消費者問題のエキスパートなど10人の専門家が集った。検討会の座長は根本氏が務める。
事務局は国交省総合政策局物流政策課、同省自動車局貨物課、経産省商務・サービスグループ物流企画室、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品流通課が共同で務める。行政のオブザーバーとして公正取引委員会、厚生労働省、資源エネルギー庁や、国交省から道路局、鉄道局、海事局、港湾局などが加わった。
荷主団体や関係団体などのオブザーバーは日本経済団体連合会(経団連)、石油化学工業協会、石油連盟、全国スーパーマーケット協会、全国清涼飲料水連合会、全国農業協同組合連合会、日本化学工業協会、日本加工食品卸協会、日本小売業協会、日本自動車工業会、日本商工会議所、日本スーパーマーケット協会、日本製紙連合会、日本チェーンストア協会、日本鉄鋼連盟、日本電機工業会など幅広い業界が集まった。物流団体では全日本トラック協会、日本倉庫協会、日本内航海運組合総連合会(内航総連)が参加、労組関係では全日本交通運輸産業労働組合協議会が加わった。
第2回会合は10月6日に開催し、荷主など関係団体からヒアリングを行うこととした。
(2022年9月8日号)