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21年度の宅配便は伸び率鈍化、49.5億個に

2022.08.18

国土交通省はこのほど、2021年度の宅配便取扱個数を公表した。それによると、総取扱個数は49億5323万個となり、前年度から1億1676万個、2・4%増となった。前年度の20年度はコロナによる巣篭り需要の拡大を受け、5億個という大幅な増加を記録したが、21年度はその反動もあり、1億個強の増加にとどまった。また、大手ECによる自社配送が拡大しており、統計上に表れないいわゆる〝隠れ宅配〟へのシフトが進んでいるとの観測もある。

トラック宅配は48.8億個、伸び率は2%に鈍化

21年度の宅配便取扱個数の内訳をみると、トラック運送によるもの(トラック宅配便)が48億8206万個となり、前年度比2・0%増。航空等利用運送によるもの(航空宅配便)が7116万個となり、前年度比38・1%増だった。

このうちトラック宅配便は上位3便(宅急便、飛脚宅配便、ゆうパック)によるシェアは94・8%で、前年度と同じ。これにフクツー宅配便とカンガルー便を含めた上位5便で全体の99・8%を占めている。

各社ごとでは、ヤマト運輸の「宅急便」は8・5%増と好調で、シェアも20年度の43・8%から46・6%まで上昇。佐川急便の「飛脚宅配便」は1・6%増と堅調で、シェアは0・2pt減の28・0%となった。日本郵便の「ゆうパック」は9・4%減と取扱個数を大幅に減らし、シェアも22・8%から20・2%に落とした。

一方、航空宅配便では上位4便(飛脚航空便、宅急便タイムサービス等、フクツー航空便、スーパーペリカン便)のシェアが20年度の35%から28・5%に低下。その他125便が大きく伸長し、全体の71・6%を占めている。

「隠れ宅配」へのシフトで伸び率は鈍化へ

今期(22年度)の宅配便は、50億個の大台を超えることはほぼ確実。ただ、大手3社の伸び率自体は鈍化しており、コロナ初年度に見られたような勢いはない。背景には物価上昇などに伴う消費意欲の減退などが指摘されているが、それ以上に、EC大手の自社配送の拡大の影響が大きいとの見方がある。

アマゾンジャパンは先月、国内18ヵ所の配送拠点「デリバリーステーション」を年内に開設すると発表。これにより、国内のデリバリーステーションは45拠点以上となり、翌日配送サービスや置き配指定サービスを強化する。こうしたEC大手の取り組みにより、統計上に表れない自社配送の比率が徐々に高まっていくものとみられる。

メール便は上位3便で99.1%のシェア

なお、21年度のメール便の取扱冊数は、前年度比1・1%増の42億8714万冊。日本郵便の「ゆうメール」だけで78・1%のシェアを握っており、次いでヤマト運輸の「クロネコDM便」が19・2%、ポストウェイの「ポストウェイメール便」が1・8%となっており、この3便で全体の99・1%を占めている。
(2022年8月18日号)


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