長瀬産業、化学品で共同輸送マッチングサービス
化学系専門商社国内最大手の長瀬産業(本社・東京都中央区、朝倉研二社長)は先月から、業界初となる、化学品に特化した共同輸送マッチングサービスの実証実験を開始した。まずは1次募集で応募があった、化学品や塗料、インキなどを取り扱う取引先や、物流会社のセンコーナガセ物流など11社が参画する。現在は2次募集を受け付けており、今年10月ごろまで実証実験を実施したうえで、来年をメドに共同輸送基盤の構築を目指す。同事業には日本パレットレンタル(JPR)のAI共同輸送マッチングサービス「TranOpt」が利用される。
化学品業界は現在、物流需要が増加する一方で、トラックドライバー不足の加速や、運送業法改正による危険品物流の規制厳格化などを背景に、貨物輸送の継続性が課題となっている。そうした中、長瀬産業では化学品のサプライチェーンに関わる各事業者が共通の課題を議論し、具体的なアクションを検討する場として「化学品共同物流研究部会」を設立。今回の実証実験は同研究部会による活動の一環となる。
共同輸配送マッチングサービスを実現することで、トラック輸送の実車率と積載率を向上させ、トラックドライバーの省人化や輸送コストおよび温室効果ガス排出量の削減を図る。その上で、物流環境ソリューションを拡張し、「サステナブルな化学品共同輸配送の実現を目指す」(同社)考えだ。
また、「TranOpt」は、AIによって業界をまたいだ荷主企業同士をマッチングするJPRのサービスで、今回の実証実験にはライセンス提供される。同社によると、AIがマッチングした輸送経路の平均実車率は93%に上り、「化学品業界におけるネットワークと危険品取り扱いノウハウを有する長瀬産業と、AIによる共同輸送マッチングサービスで実績のあるJPRの提携で、化学品業界に持続可能な物流を提案する」としている。
(2022年6月7日号)