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関西~北海道で菓子を鉄道にモーダルシフト=明治ロジテック

2022.03.29

明治ロジテック(本社・東京都江東区、小嶋秀治社長)は、CO2排出量の削減と輸送モードの複線化のため、鉄道モーダルシフトを推進している。大阪工場(大阪府高槻市)から札幌向けには31ftの定温コンテナを活用した鉄道輸送を実施し、昨年3月からは週2便に拡充した。今後、東海や関東地域発でも鉄道の利用を検討していく。

「2024年問題」対応で幹線輸送を見直し

同社は2008年に東西で事業展開する2つの物流子会社が統合して設立された。11年の明治グループの事業再編に伴い、食品事業が「株式会社明治」に一本化され、現在、グループ唯一の物流子会社として調達から製品配送までを担当。ドライ、定温、チルド、冷凍の4温度帯をカバーしている。

明治グループでは昨年3月、グループ長期環境ビジョンを策定。50年までにサプライチェーン全体でカーボンニュートラルの達成を目標に掲げた。また、トラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」への対応として、モーダルシフトや中継輸送の導入など幹線輸送の見直しを進めている。

その一環として、大阪工場から北海道向けのチョコレート菓子の輸送で鉄道によるモーダルシフトを検討。従来、大阪工場からトラックで坂戸工場(埼玉県坂戸市)の倉庫に搬入、同工場の製品と積み合わせて大洗港からフェリーを使って札幌市内の物流拠点に届けていたが、大阪工場から鉄道で直送することを目指した。

週2便で年間でCO2排出量を70t削減

北海道への直送では、他の製品で海上輸送の実績があった。今回、鉄道輸送を選択したのは、CO2の削減効果に加え、緊急時に安定的な輸送力を確保できるよう、輸送ルートの複線化を図るのも狙い。19年から、明治、JR貨物、全国通運と協議のうえ、断熱材で温度を18℃の定温に保てる31ftコンテナの採用を決めた。

チョコレート菓子はシートパレットを使用し、31ft定温コンテナはジョロダー付きのものを用意。テスト輸送を経て、19年12月に週1便からスタート。21年3月からは週2便体制とし、年間でCO2排出量70t削減(削減率80・7%)を実現、ドライバーの労働時間を理論上は666時間削減できた。

粉末プロテインではオートフロアコンテナ使用

さらなるモーダルシフトとして21年8月から、倉敷工場(岡山県倉敷市)で製造している粉末プロテイン「ザバス」について、埼玉県坂戸市の倉庫への輸送の一部をトラックから31ftコンテナを活用した鉄道輸送に切り替えた。同社の製品では初となるオートフロアコンテナを採用し、商品の積み下ろし作業の省力化・効率化を図っている。

「ザバス」の製造拠点は1ヵ所のみで、大阪工場と坂戸工場に併設された倉庫に移送し、出荷。坂戸の倉庫までは倉敷工場から700㎞以上の距離があり、月に大型トラック約50台で出荷していることから、週1台分を鉄道に切り替える。年間でCO2排出量を13t、トラックドライバーの労働時間を382時間削減できる試算だ。

荷台の床を電動でスライドできるオートフロアコンテナを使用することで、製品を載せたシートパレットを荷室の入口に積み、床ごと奥にスライドさせることで荷室の奥まで荷物を移動できるため、省力化につながる。高齢者や女性のドライバーでも作業しやすく、作業時間の短縮も見込まれる。

なお、北海道の工場で生産された脱脂粉乳の本州への輸送、横浜の営業倉庫から輸入原料の各工場への輸送ではこれまでも物量に合わせて鉄道(5tコンテナ)を利用している。今後、集車が難しい東海地域から関西、九州向けのほか、長野発や物量の多い関東工場発でも鉄道輸送の可能性を検討していく考えだ。
(2022年3月29日号)


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