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明治、粉末プロテインを岡山から埼玉へ鉄道輸送

2021.09.16

明治(本社・東京都中央区、松田克也社長)は、倉敷工場(岡山県倉敷市)で製造している粉末プロテイン「ザバス」について、埼玉県坂戸市の自社倉庫への輸送の一部をトラックから31ftコンテナを活用した鉄道輸送に切り替える。同社の製品では初めてとなるオートフロアコンテナを採用。商品の積み下ろし作業の省力化・効率化を図る。今月27日からスタートし、年間でCO2排出量を13t、トラックドライバーの労働時間を382時間削減できる見込みだ。

“持続可能な物流”へ新たな輸送モードを検討

同社では2024年4月からドライバーに時間外労働の上限規制が適用されることを見据え、“持続可能な物流”をコンセプトに、長距離輸送においてトラック以外の新たな輸送モードの検討を進めている。このほか、船舶での輸送やトレーラスイッチなどによる中継輸送の導入、トラックの積み込み時間の短縮などの施策も実施している。

19年秋に稼働した倉敷工場で製造する「ザバス(写真)」は、現在、製造拠点は1ヵ所のみで、大阪工場(大阪府高槻市)と坂戸工場(埼玉県坂戸市)に併設された自社倉庫に移送し、出荷している。坂戸の倉庫へは倉敷工場から700㎞以上の距離があり、月に大型トラック約50台で出荷していることから、このうち週1台(月4台)分を鉄道に切り替える。

岡山貨物ターミナル駅~越谷貨物ターミナル駅間の約770㎞の幹線を鉄道輸送し、31ftコンテナを使用する。荷台の床を電動でスライドできるオートフロアコンテナを同社で初めて採用。製品を載せたシートパレットを荷室の入口に積み、床ごと奥にスライドさせることで荷室の奥まで荷物を移動できるため、省力化につながり、高齢者や女性のドライバーでも作業しやすく、作業時間の短縮も見込まれる。

関東から関西方面へコンテナの往復運用も研究

全面的に鉄道に切り替えると、災害時の緊急対応が難しくなるとの見方から、「モーダルコンビネーション」としてトラック輸送や船舶での輸送と併用する。今後は、明治グループの物流会社である明治ロジテックや全国通運、JR貨物と連携しながら、31ftコンテナの往復運用も検討。坂戸工場の菓子の岡山の倉庫への輸送や、埼玉工場(埼玉県春日部市)で製造している粉ミルクの高槻の倉庫への輸送に活用することも視野に入れ、研究を続けていく。

明治グループでは、明治グループ長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」を今年3月に制定し、地球環境への影響のさらなる軽減に向け、地球の平均気温上昇を1・5℃に抑えるパリ協定の努力目標に挑戦。50年までにバリューチェーン全体で温室効果ガス排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目指している。今回の取り組みも物流面におけるCO2排出量を削減し、環境負荷低減に貢献する一環。

また、荷主企業と物流事業者が相互に協力して物流改善を図ることを目的とし、19年4月から実施している「ホワイト物流推進運動」に明治も参画しており、その「自主行動宣言」に基づき、モーダルシフトの推進のみならず、トラックの待機時間の削減や付帯作業の軽減などの取り組みを通じてトラック輸送の生産性向上・効率化に貢献し、“持続可能な物流”を目指している。
(2021年9月16日号)


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