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キリンGロジ、新中計で人財育成とデジタル化推進

2022.02.10

キリングループロジスティクス(KGL、本社・東京都中野区、山田崇文社長)は7日、オンライン方式で会見を開き、2022年から3ヵ年の新たな中期経営計画について説明した。会見に出席した山田社長(写真)は「当社は2027年のありたい姿として『知恵と創意工夫で新しい時代も運びきっている』というビジョンを掲げているが、22年中計はその実現に向けた準備の3ヵ年と位置づけ、様々な課題解決に着手する」と表明。その上で「将来も“運びきる”体制をつくり上げるため、輸配送戦略と拠点戦略の2つの方向から取り組みを推進する」と述べた。その上で、今後の戦略実現を支える持続可能な事業基盤の構築に向け「〝人財育成〟と〝デジタルICT〟に注力していく」と強調した。

トラックの確保と効率的運用が重要課題

輸配送戦略では24年4月からのドライバーの時間外労働規制強化を見据えながら「集車力・配車力・輸送力の向上」を重要テーマに定め、協力会社との緊密な関係を維持しながら〝運びきる〟体制を強化するとともに、配車システムや業務プロセスをデジタルICTによって再構築し、確実な輸送力を担保する。また、デジタル化による構内積み込みと検品の時間短縮によりトラック運行を効率化する。さらに、事業会社と連携しながら受注リードタイム延長の取り組み(受注日翌々日納品=D+2化)を展開。ビール・酒類では昨年から取り組みを開始しており、特約店を中心に7~8割の納品先でD+2化が進展しつつある。輸送力の維持・確保では新たな協力会社との関係構築や一部の区間ではモーダルシフトも検討する。

拠点戦略ではデジタル化による生産性アップやグループの拠点ネットワークの最適化を図る。前中計期間中には物流拠点を増やすことに注力し、15ヵ所新設したが、今中計では拠点の保管能力向上や事業会社の計画に基づく生産拠点と連携した効率的ネットワークの実現を図る。

物流は〝ひと〟であり人材育成が最重要

山田社長は「物流事業において最も大切なものは〝ひと〟だと認識している」と強調。事業基盤を支える人財戦略では、配車・情報・料金などの専門スキルを身に着けた人財や業務オペレーション人財の育成を強化。新卒・経験者の採用を継続し、機能別・ステージ別の要員配置計画に基づき、人材の適正配置を進め、組織力を強化する。また、女性の活躍推進や働きやすい環境整備を拡充していく。具体的な取り組みでは今年から年間所定労働時間を1920時間から1896時間とし、生産性を上げながらワークライフバランスに配慮した働き方の実現を目指す。21年4月にスタートした5ヵ年の「KGL女性活躍推進行動計画」に基づき女性活躍をより一層推進していく。また、キリングループでのサプライチェーンマネジメント人財の育成に向け、KGLとグループ各社との積極的な人財交流を推進する。

デジタルICT戦略では、数億円規模の投資を行い、デジタル化によって拠点能力の効率化を図り、構内滞留を改善する。配車業務では1億円程度の投資によりシステムの再構築を図り、省力化を進める。また、業務プロセス改革や省力化とともに情報機能を強化する。

前中計最終21年度の連結売上高は736億6000万円だった。新中計の連結売上高目標は初年度の22年度は740億7000万円(21年度対比4億1000万円増、0・5%増)、最終年度の24年度は772億円(35億4000万円増、4・8%増)を目指す。21年度の外販事業売上高は180億円強で全体の約4分の1を占めるが、22年度も同レベルの確保を見込んでいる。
(2022年2月10日号)


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